映画「ホタル」で知られる出撃前夜、アリランを唄った朝鮮人特攻隊員がいた。
彼の慰霊碑建立を願い、郷里に実現しようとした女優・黒田福美。
しかし、そこに立ちはだかったのが韓国の「反日」の病だった。
苦節二十数年…。「知韓派」女優が辿った壮絶な哀しみのドラマ
憎しみあうのではなく、労りあう日韓のために……
1991年7月、私は不思議な夢を見た。「日本名ではなく、朝鮮人として死にたかった」──
夢に出てきた青年は、快活に笑いながらそう言った。その日から、私の「祈願碑」建立への長い旅がはじまったのです……。
著者プロフィール
俳優・エッセイスト。1956年生まれ。桐朋学園大学演劇科卒業。俳優として活躍する一方、芸能界きっての韓国通として知られる。80年代から韓国への往来をはじめ、三十余年にわたって、放送、著作物、講演などを通して韓国理解に努めてきた。
2002年FIFAワールドカップ日本組織委員会理事、韓国観光名誉広報大使などを歴任。そうした功績が認められ2011年には韓国政府より「修交勲章 興仁章」を受勲。
著書『ソウル マイハート』、『ソウルの達人』シリーズ、『黒田福美の韓国ぐるぐる〜ソウル近郊6つの旅』ほか多数。
目次
はじめに──新たなる出発のために
プロローグ──反日の標的にされた慰霊碑
第一章 二つの名前──光山文博と卓庚鉉
第二章 知覧・沖縄にあった朝鮮人特攻兵慰霊碑
第三章 韓国で遭遇した卓家一族の謎
第四章 学籍簿で発見した、もう一つの名前「高田賢守」
第五章 石碑の碑文をめぐる葛藤
第六章 あまりにも話が巨大化してゆく韓国版「平和の礎」
第八章 反日団体の怒号で妨害された除幕式
第九章 撤去された石碑の再建の地を求めて
第十章 光復会関係者を相手にして流した熱い涙
エピローグ──「真実を語る人」がいなくなる前に
新装版のための後日談──法輪寺とともに歩もう
おわりに──知恵と勇気で日韓の相克を乗り越えたい
解説──黒田福美はなぜ裏切られたのか…… 黒田勝弘