「米中激突」の地政学

茂木誠 著
定 価:
本体1540円+税
判 型:
四六判
ページ数:
304ページ
ISBN:
9784898314968
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<出版社より>
米中の外交的、経済的、軍事的対立はもはや避けられない状況に至った。2020年11月の米国大統領選挙を控え、台湾、南シナ海、尖閣諸島などで軍事的緊張は高まっている。
歴史上、覇権国とNO2の強国は、戦争に発展するケースが多い。トランプ政権誕生後、米中二大国家の対立が顕在化。さらに武漢発新型コロナウイルスの大流行と「香港国家安全法」で衝突は加速した。
世界史、地政学、イデオロギーの視点から米中激突の必然と行方を大胆予測!
「シーパワーVSランドパワー」「キリスト教VS中国五大思想」など、米中170年の外交史を振り返りながら、対立の宿命を明示し、さらに覇権国家の狭間で漂うNO3国家・日本が 進むべき道を提示する!
前作『東アジアの地政学』(悟空出版)同様、日下充典氏のデザインが凄い!カバー表1、表4はもちろん表紙、目次に至るまで、この迫力を楽しんでください。
<主な内容>
□疫病と覇権国の交代/ローズヴェルト「隔離演説」/ペンス演説と新冷戦/〝日英タッグ〞に負け戦なし…
□中国五大思想の本質/孟子「性善説」と荀子「性悪説」/戦争のプロ・墨子のリアリズム/ウィットフォーゲルの共産主義批判…
□「マニフェスト・デスティニー」で領土拡張を正当化/ネオコンはトロツキスト/シーパワー「経験論」vsランドパワー「観念論」…
□「中国人排斥法」と「排日移民法」/キッシンジャーの忍者外交/共産党の権力闘争七十年史/米国の親中トライアングル…
□江戸時代の感染症対策/中国の宣伝力に要注意/国際機関の「公正中立」信仰を捨てよ…

著者プロフィール

歴史系YouTuber、著述家、予備校講師。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当し、iPadを駆使した独自の視覚的授業が好評。世界史の受験参考書のほか一般向けの著書に、『経済は世界史から学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史を動かした思想家たちの格闘』(大和書房)、『世界史で学べ! 地政学』(祥伝社)、『ニュースの〝なぜ?〟は世界史に学べ』シリーズ(SB新書)、『超日本史』(KADOKAWA)、『日本人が知るべき東アジアの地政学』(悟空出版)、『「戦争と平和」の世界史』(TAC)など。YouTubeもぎせかチャンネルで時事問題について発信中。連絡先:mogiseka.com

目次

序章 疫病と地政学

コロナ禍が加速する米中衝突

 

一抹の不安が瞬く間に現実の脅威に

「アテネの疫病」が信仰とモラル崩壊をもたらす

疫病が覇権国家の交代を引き起こした

中国が隠蔽しWHOが協力─トランプ大統領の告発

「香港国家安全法」で加速する対中対決姿勢

 

第1章 対立の経緯

なぜ米中二大覇権国は衝突したのか

 

参戦四年前に敵を定めた「隔離演説」

冷戦の開始を告げる宣戦布告

衝撃の「ペンス演説」

アメリカの期待は裏切られた

『1984年』『ターミネーター』の世界

中共による宗教弾圧の波

「一帯一路」という「借金漬け外交」

米国の民主主義に干渉した中国

中国による米国内への不当な脅迫

「新冷戦」の始まりを告げた「ペンス・ドクトリン」

米国の安全保障を脅かす敵の正体

 

第2章 二大強国の宿命

地政学で見る米中衝突の必然

 

地政学とはリアリズムの学問

人類の歴史はランドパワーとシーパワーの闘争史

ペロポネソス戦争はなぜ起こったのか

「覇権争奪戦」はチャレンジャーに不利

イギリスとロシアの「グレートゲーム」

日露戦争の本質は英露の覇権争い

日英同盟は世界大戦の引き金になりかけた

急成長のドイツが英国の覇権に挑戦

英国から米国へ─平和的な覇権交代劇

〝日英タッグ〟に負け戦なし

ランドパワーと組んでシーパワーに挑戦した日本の悪手

第3章 中国思想編

ランドパワー大国の国民性

 

なぜ春秋戦国時代に諸子百家が現れたのか

古き良き中国─血縁ネットワークだった封建制度

儒家の思想─孔子から孟子、荀子へ

孟子の性善説と荀子の性悪説

墨家の思想─平和主義とは似て非なる墨子の「非攻」

戦争のプロ・墨子のリアリズム

法家の思想─儒家の荀子から韓非子へ

儒家の学者は国を乱す害虫

縦横家の思想─蘇秦と張儀の合従連衡策

『六韜』の外交戦略と軍事戦略

道家の思想─「無為自然」の教えから民間信仰へ

国家権力vs宗教教団─黄巾の乱から法輪功まで

表看板は儒家、中身は法家─歴代王朝のイデオロギー

中華思想─「周辺の野蛮」あっての「中心の文明」

朱子学─異民族支配の屈辱に耐えるための精神安定剤

中国の伝統的土地制度─理想は国有、現実は私有

西洋の土地国有化思想─トマス・モア、ルソー、マルクス

なぜロシアと中国なのか─ウィットフォーゲルの共産主義批判

中国という国家の本質─東洋的専制主義と法家思想

 

第4章 米国思想編

シーパワー超大国のイデオロギー

 

イギリスからの〝政治難民〟と〝経済難民〟

合衆国の誕生とともに始まる連邦派と反連邦派の対立

「白人の民主主義」を追求した民主党初代大統領ジャクソン

農業国から工業国への大転換を図ったリンカーン

領土拡張を正当化する「マニフェスト・デスティニー」

大統領選を左右するユダヤ系

「宗教国家」アメリカを動かす福音派

FRB創設で国際金融資本と結託したウィルソン大統領

国際主義=「世界の警察」の夢

リベラルの変容と保守派の多様化

ネオコンのルーツはトロツキスト

ネオコンに乗っ取られた共和党ブッシュ政権

経験論の系譜を引くプラグマティズム

シーパワーのプラグマティズムvsランドパワーの観念論

「シーパワー大国」の戦略プランナー

封じ込めから米中接近へ

 

第5章 米中外交史

太平洋に面した二大国「170年史」

 

不平等条約から始まった米中の外交関係

「中国人排斥法」から「排日移民法」へ

門戸開放宣言からワシントン会議へ

浙江財閥と宋家三姉妹

日米戦の二つの側面─中国市場の奪い合いとソ連の暗躍

国共内戦、朝鮮戦争から中ソ対立へ

ベトナム戦争からの撤退に動いたニクソン政権

キッシンジャーの忍者外交と日本のショック

中国共産党内の権力闘争(一九六〇~七〇年代)─文革派vs実権派

鄧小平─三度失脚し、三度復活した男

中国共産党内の権力闘争(一九八〇年代)─保守派vs改革派

中国共産党内の権力闘争(一九九〇年代以降)─上海閥vs共青団

第三勢力・薄煕来の失脚と伏兵・習近平の成り上がり

クリントン政権で完成した「親中トライアングル」

 

終章 日本の戦略

大国に挟まれた日本の生きる道

 

新冷戦の行方は大統領選の結果次第

感染症対策に見る日本の強さと弱さ

「防疫」から人権重視の「感染症法」へ

中国の「マスク外交」に見るしたたかな宣伝力

情報発信のお手本─ローズヴェルトの「炉辺談話」

「国際機関=公正中立」信仰を捨てよ

自由と繁栄を求めるシーパワー連合のパートナーとして

 

おわりに

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