「ASMR」を解き明かす研究。
食べ物を食べる咀嚼音や、耳元で囁く声、パソコンキーボードの打鍵音などを聴くことで、ゾクゾクしながらも心地よい反応を得る「Autonomous自律 Sensory感覚 Meridian絶頂 Response反応」略してASMRが今、動画共有サイトなどで人気を博している。しかし、ASMRの発生メカニズムや、身体への影響などはこれまであまり研究されていない。世界的流行を見せるASMRは実は謎多き現象なのだ。
そんな中、日本の研究者がASMRのメカニズムを解き明かす研究を始めていた。
「聴こえないはずの音」を調べる研究。
ヒトは、およそ20ヘルツから20000ヘルツまでの音を認識できるという。そうしたヒトの耳に聴こえる範囲のことを可聴域(カチョウイキ)と呼び、医療や工学の分野で基準とされている。しかし近年、可聴域を超えた高さの音、つまり私達が聴こえないはずの20000ヘルツ以上の音を、何故か脳が認識し、反応を示していることがわかってきた。更に、その聴こえないはず音は、私達を含めた生物の健康へ大きな影響を及ぼすことも見えてきた。
いったい聴こえないはずの音が私達に与える影響とはどんなものなのか?
「細胞応答」と音に関する研究。
[問題] 私達はどこで音を聴いているのか? [答え]「耳!」
というアンサーが変わる日が近づいているのかも知れない。なぜならば近年、私達の体を構成している細胞が音に反応していることが見えてきたのだ。そしてその反応を活用することで、社会を大きく変える技術へと発展する可能性があるという。
音に対する細胞応答を調べる研究に迫る。
主な取材先
【主な取材先】
中京大学 近藤 洋史さん
中京大学 多田 奏恵さん
国立精神・神経医療研究センター 本田 学さん
京都大学 粂田 昌宏さん