ガリレオX

マテリアルズ・インフォマティクス 材料開発を加速させる新手法

BSフジ
本放送:04月12日(日)昼11:30~12:00
再放送:04月19日(日)昼11:30~12:00

 現代社会に欠かすことのできない便利な製品も元をただせば、何らかの材料から作られている。新しい材料が開発されることで、それまで不可能と考えられてきたことが実現し、生活の姿が大きく変わったということも少なくない。従来、新材料の開発は、研究者の経験や勘を頼りに実験を行い、目的の性能を持った材料ができるまで繰り返される。そのような多くの時間を必要とする材料開発の場面に、今、人工知能を用いる試みが進んでいる。それは、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)と呼ばれ、材料開発にかかる時間を大きく短縮するだけでなく、これまで研究者が想像もつかなかった新しい材料の発見も可能にしたという。取り組みが進む新しい材料開発の手法、MIに迫る。

材料科学と情報科学の融合
 私たちの生活は、多くの高機能な製品で溢れている。そこに必要不可欠なのが材料。従来、材料の開発は、開発者の経験や勘によって実験を繰り返し長い時間を掛けて行われていた。しかし、そのような材料開発に情報科学、なかでも人工知能を利用するという取り組みが始まっているというのだ。その手法は「マテリアルズ・インフォマティクス、通称MI(エムアイ)」と呼ばれている。その手法はどのようなことを可能とするのだろうか?

MIによって加速する材料開発
 物質・材料研究機構の徐さんは、新たな断熱材料の開発を行った。その材料開発では、およそ9万通りの組み合わせが候補に挙がった。しかし、実際に9万通りの実験をするには途方もない時間がかかる。そこで徐さんは、人工知能による機械学習を使用し、候補に挙がった9万通り全ての断熱性能を予測したという。その結果から見えるMIの凄さとは。

MIに必要な材料科学と情報科学
 MIには材料の研究者だけでなく、情報科学の専門家も欠かせない。一般的に、人工知能は今あるデータを基に予測をするので、データのない領域の予測は精度が悪くなってしまう。だが、データが不足していても、人工知能の予測精度を上げることができると情報・システム研究機構の吉田さんは語る。いったい、どういうことなのだろうか。

実験家も驚くMI
 物質・材料研究機構の高際さんは、新たに開発した熱電材料の性能向上にMIを活用した。通常、データの数が多いほど機械学習精度は向上するが、高際さんの開発した熱電材料は新素材のため、わずかなデータしか存在しない。だが、機械学習が予測したデータは高際さんを驚かせるものであった。そこから得られた新しい知見とは。

これからの材料開発とMI
 MIを使った新しい材料の開発が進む中、MIのためのコンピュータシステム、つまり材料開発専用のコンピュータシステムの開発も行われている。
 今後、材料開発でMIを活用することは当たり前になっていく。と、物質・材料研究機構の出村さんは語る。


主な取材先
徐 一斌さん(物質・材料研究機構)
出村 雅彦さん(物質・材料研究機構)
高際 良樹さん(物質・材料研究機構)
源 聡さん(物質・材料研究機構)
吉田 亮さん(統計数理研究所)
津田 宏治さん(東京大学大学院)
おもちゃのまちバンダイミュージアム

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