ガリレオX

接着の科学 モノがくっつく謎と最先端の接着剤研究

BSフジ
本放送:08月27日(日)昼11:30~12:00
再放送:09月03日(日)昼13:30~14:00

物と物をくっつける接着剤。その歴史は古い。 旧約聖書に登場する“ノアの方舟”は、防水効果を得るため「船の内側と外側に瀝青(レキセイ)を塗る」という神の指示によって建造されたという。瀝青(レキセイ)とは、アスファルトの事で、紀元前4000年頃の古代メソポタミア文明では、接着剤として既に利用されており、接着剤の元祖にあたる。そして現代。飛行機から自動車、自宅の引き出しの中まで、接着剤は今も人類には欠かせないものとして存在し続けている。 しかし、接着剤がどのようにモノとモノをくっつけているのか?といったメカニズムは、実はいまもって科学的に解明されていない。そんな中、世界で初めて、電子顕微鏡を用いて接着剤が剥がれる瞬間が撮影され、接着のメカニズムの解明に進展があった。また国内の研究機関では、新たな接着剤の研究が進展しており、世界中の注目を集めているという。 謎多き接着のメカニズムと、最先端の接着剤研究に迫る。

接着剤の原点
接着剤の原点はアスファルトにあるとされる。
およそ4600年前に栄えたシュメール人の都市国家の一つであるウル(現・イラク)の遺跡から出土した、用途不明の工芸品「ウルのスタンダード」は、宝石や貝殻によって飾り付けられたモザイクによって、戦争と平和が、表裏に表されている。
その装飾には、接着剤としてアスファルトが使われており、人類が古くから接着剤を利用してきたことが分かる。
そして、日本でもおよそ4000年前に接着剤が使われた痕跡が残されていた…

接着の謎
古代から現代まで、身近な道具として存在し続けてきた接着剤。
しかし驚くべきことに、接着剤がどのようにしてモノとモノをくっつけているのか?実は、そのメカニズムは解明されていない。
そんな中、世界で初めて、電子顕微鏡を使って「接着剤が引き剥がれる瞬間の映像」を捉える実験が産業技術総合研究所で行われたという。
 その実験からどのようなことが見えてきたのか?接着のメカニズムに迫る研究を取材した。

接着剤が苦手とする水中で
接着剤を使うことが困難な場所である「水中」。
当然ではあるが、液体から固体に変化することによって、モノとモノをくっつける接着剤は、他の液体内で使用することが難しいのだ。
しかし、東京大学で開発された最新の接着剤は、水中でモノをくっつけることが可能だという。さらに水の中での接着力は世界一というのだから驚きだ。いったい東京大学で開発された水中接着剤とはどのようなものなのか?その研究現場を取材した。

モノづくりの概念を変える接着剤
物質・材料研究機構(NIMS)でも、これまでにない新しい接着剤が開発されたという。
その接着剤とは、繰り返し使える接着剤。驚くべきその特徴は、繰り返し使用しても接着力が「落ちない」という点と、「光」で、接着と非接着を切り替えるという点にある。では、どのようにして光で制御するのだろうか?
繰り返し使える接着剤の全貌に迫る。

自動的に修復する接着剤
山形大学では、大阪大学と協力し、自己修復性材料の研究を進めている。
自己修復性材料とは損傷が生じても自ら修復する材料のことで、いま接着剤への応用が考えられている。そして、その活用方法として、なんと宇宙での使用も視野に入っているという。いったい自己修復性をもった接着剤とはどのようなものなのだろうか?研究が進む山形大学へ向かった。


主な取材先
・八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館
・産業技術総合研究所 堀内伸さん
・東京大学 江島 広貴さん
・NIMS 内藤 昌信さん
・山形大学 松葉 豪さん

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