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探訪!教育用原子炉 どうなる?技術自給率の行方

BSフジ
本放送:11月11日(日)昼11:30~12:00
再放送:11月18日(日)昼11:30~12:00

日本の大学に原子炉があることをご存知だろうか? その数は、現在3基。これらの原子炉は一般的にイメージされるような発電用の原子炉と比べると出力がとても低く、中には出力がわずか1ワットというものもある。実は、これらの原子炉は教育を目的に設置されたもので、原子力について学ぶ学生たちが主に活用している。 現在、原子力の在り方が問われているが、原子炉を維持するにも廃炉とするにもそれは将来に続く話であり、原子力の専門的な技術と知識を持った人材が不可欠である。 今、そうした人材育成の現場では、どのような取り組みが進められているのか? また、今後の課題とは何か? 教育用原子炉での実習に取り組む学生たちを訪ねた。

出力1ワットの原子炉
近畿大学のキャンパスの一角に、出力がわずか1ワットの原子炉がある。この極低出力の原子炉は、主に原子力を専門に学ぶ大学生が実験や実習で使用する「教育を目的とする原子炉」である。そしてこの教育用原子炉の最大の特徴は、なんと大学生が自分自身の手で運転をすることができるということだ。
教育用原子炉を実際に運転した経験を持つ学生から感想を聞いた。

技術自給率という考え方
2018年に閣議決定されたエネルギー基本計画に「技術自給率」の向上を図ることの重要性が明記された。ここで言う技術自給率とは、国内のエネルギー消費に対して、自国の技術でまかなうことのできるエネルギー供給の程度のこと。エネルギー自給率も食料自給率も低い日本が、科学技術で国を立てていくために、日本の中で様々な製品を作れるように技術を確保し続けることが重要だということだ。
そして、この技術自給率を今後、向上させていくためには、まさに人材の育成が欠かせないという。

空白の3年間
技術自給率を向上させる重要性は、原子力の分野でも同様だ。そのためには原子力に関する人材育成が求められている。原子力技術の維持発展もあるが、原子力発電所の規制や廃炉のためにも専門的な知識や技術を持った人材が必要だからだ。
そのような人材を育成する現場である教育用原子炉だが、2011年の東日本大震災のあとに設けられた新規制基準による安全審査のために約3年間にわたり運転を停止していた。
とは言え、人材の育成を滞らせるわけはいかない。そこで、その期間は韓国の教育用原子炉を利用することで代替していたという。日本の学生を受け入れた韓国の教育用原子炉を訪ねた。

人材育成の行方
今、日本にある教育用原子炉は近畿大学に1基、京都大学に2基の合計3基しかない。その3基で全国の大学の学生たちの実験実習を行っている。将来に向けて技術自給率を維持し高めていくためには、大学や研究機関のネットワークを海外、アジアや世界へと広げ、活用していくことで教育の環境を提供し合うという考え方も必要だという。


主な取材先
近畿大学原子力研究所
京都大学複合原子力科学研究所
慶煕大学校原子炉センター

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