ガリレオX

水不足に挑む日本の技術 海水淡水化技術のイノベーション

BSフジ
本放送:05月09日(日)昼11:30~12:00
再放送:05月16日(日)昼13:30~14:00

 現在、水不足は全世界の大きな課題となっている。世界で安全な飲み水を確保できない人は約21億人にのぼると推定され、食糧危機や国際紛争にまで発展している。そんな水不足解消の切り札とされているのが“海水淡水化技術”だ。地球上の水資源の約97.5%が海水とされており、残り2.5%が淡水である。そのため無尽蔵の水資源である海水を淡水に変える技術が注目されているのだ。しかし、海水淡水化技術にも課題があった。その海水から塩分を取るために膨大なエネルギーとコストが必要になる点だ。そのような状況の中で、いま日本の技術が世界から注目されている。実は日本の海水淡水化技術の効率は世界最高レベル。低コストを実現するための様々な新技術が誕生しているのだ。そんな海水淡水化技術の課題を克服するための最先端技術に迫る。

私たちの身近にもある水不足 沖縄県波照間島の事例
 "水道水”は私たちにとって必要不可欠な存在だ。水道が当たり前の現代社会では水不足は実感しにくい問題である。しかし、日本国内でも水不足は存在していた。人が暮す日本最南端の島、波照間島は、サンゴ礁が隆起してできた独特な地形をしており、非常に平坦なため川がない。そのため古くから島民は真水を得るために苦労を重ねてきたという。

水不足を解消する切り札“海水淡水化技術”
 現在、世界では21億人もの人々が安全に管理された水を得ることができていないといわれてる。では、この水不足の問題を解決するためには何が求められているのだろうか。いま注目されているのが、これまで水道水に利用されてこなかった水源である海水を利用する技術。実は、地球上で最も多く存在するのが海水であり、それを淡水に変える“海水淡水化技術”が水不足を解消する切り札とされているのだ。

海水淡水化技術、2つの課題
 そんな海水淡水化技術には課題があった。それはいかにコストを削減するかという課題だ。1つ目は、電力コストの削減で、海水を淡水にする際の最大の電力コストである高圧ポンプ動力の削減だ。2つ目は、逆浸透膜のコスト削減で、海水から塩分を取り除くために利用される、汚れに強く長寿命な膜が求められていた。そして今、これらの課題を解決する新技術が、日本の技術力によって誕生している。

電力コストを削減する新技術
 電力コストを大幅に削減する新技術は“エネルギー回収装置”と呼ばれる装置だった。この装置は、これまで捨てられていたエネルギーを回収し、再利用することによって、従来の電力コストの約5割以上を削減することに成功したという。一方、別の場所では、一風変わった方法で電力コストを削減する試みが進められている。それは下水処理と海水淡水化技術とを組み合わせ電力コストを抑える、いわば一石二鳥の新技術だった。

新型の逆浸透膜の開発
 もう1つの課題である逆浸透膜のコスト削減を実現する新技術も開発されていた。それは汚れに強く、長寿命の新型の逆浸透膜だ。汚れに強い理由は、カーボンナノチューブという新素材にあった。この素材を従来の逆浸透膜の部材とすることで汚れに強い膜が誕生したのだ。この膜の寿命はこれまでの膜に比べ3倍から5倍にのび、コストを大幅に削減することができるという。
 全世界が抱える水不足問題を解決することはできるのか。日本から誕生する海水淡水化の最新技術に迫る。


主な取材先
大熊 那夫紀さん(造水促進センター)
深澤 正幸さん(電業社機械製作所)
飯田 隆二さん(電業社機械製作所)
合田 康秀さん(ナイカイ塩業)
紅林 利彦さん(ウォータープラザ北九州)
遠藤 守信さん(信州大学)
東田 盛善さん
竹富町役場 上下水道課

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