食べるだけで健康になれる”トマト”の誕生
世界で初めて国の承認を得たゲノム編集食品であるトマト。その名は”シシリアンルージュハイギャバ”。トマトは健康に良い野菜と言われているが、このトマトは特にGABAと呼ばれる成分を多く含み、睡眠改善効果や高血圧を抑える働きが期待できるのだという。いったいこのトマトはどのようにして作られたのか?生みの親である筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター センター長の江面浩博士を訪ねた。高齢化が進む日本で、食べて健康になれるトマトの誕生は、これからの「食の在り方」をどう変えようとしているのだろうか?
最新の遺伝子操作技術
このトマトを生み出した「ゲノム編集」は、実はこれまで人類が行ってきた品種改良と同じ手法だという。では、どこがどう違うのか?そして、“シシリアンルージュハイギャバ”はどのようにして、GABAを増やすことができたのか?クリスパーキャス9と呼ばれるゲノム編集技術とは何か?江面博士の研究現場の取材から最新技術の実体が見えてきた…。
サバの攻撃性を抑えて食糧危機を乗り越える?
佐賀県唐津市。ここでは将来の食糧危機を解決する鍵になるかもしれないという、サバの品種改良が行われていた。養殖のサバは稚魚期に共食いを行い9割が失われてしまうという。その問題の解決にゲノム編集技術が使われていた。なんと、ゲノム編集によってサバの稚魚の生存率が1割から4割に上昇したというのだ。その方法とは?
消費者の理解を深めるリスクコミュニケーション
新しい科学技術には不安がついてまわる。それはゲノム編集にも。果たしてゲノム編集食品は人の口に入って安全なのか?食品である以上、ゲノム編集の研究者たちには技術の有用性と安全性をとことん追求することが求められる。一方、私たち消費者には、そうした技術を正しく知る姿勢が求められている。ゲノム編集の技術が将来の食糧危機の解決に活かされるかどうか。今、リスクコミュニケーションの在り方が問われている。
主な取材先
【主な取材先】
江面 浩さん(筑波大学 つくば機能植物イノベーション研究センター)
サナティックシード株式会社
松山 倫也さん(九州大学 農学研究院 アクアバイオリソース創出センター)
栗生 祐輔さん(栗生水産)
大望閣
唐津市役所