トマトとキクが一体化する?!
古くから農業における重要な技術として用いられきたのが“接ぎ木”だ。別々の植物の枝と枝を固定して一体化させることができるこの技術だが、例えばトマトとキクのような『異なる種類の植物を接ぎ木することはできない』というのが難点であり、長く農業における常識でもあった。名古屋大学の野田口准教授は、この難点を克服する“常識では考えられない植物”を発見したという。果たしてその植物とは何なのか?解き明かされた植物の秘められた能力とは。
植物の性別を自在に制御する?!
動物と同様、植物にも性別があり、雄花・雌花・両性花という3つの性別を複雑に、そして絶え間なく変化させている。しかし、この植物の性別を制御している因子は長らく発見に至らなかった。岡山大学の赤木研究教授は柿の研究によって世界で初めてこの植物の性別を制御する遺伝子を発見した。赤木さんはこの新発見によって、これまでの農業の栽培体系や品種改良を大きく変えることができるようになるという。植物の性別を制御することで、どんなことが実現するのか。農業を変える新発見と、不可能を可能にする新技術を探る。
スプレーで遺伝子を改変する?!
植物の形質や能力を決める遺伝子を改変する研究は、日々進歩を続けている。しかし、植物の遺伝子を改変することは簡単ではなく、工業規模では多くの時間とコストがかかっている。この問題を解決するため、スプレーをひと吹きするだけで植物の遺伝子を改変してしまう驚きの新技術が誕生した。この技術を開発したのは京都大学の沼田教授だ。実は新技術が開発されるきっかけには沼田教授が進めてきたある研究が関係していたという。それは光合成生物に物質を作らせるという研究で、空気中の二酸化炭素や窒素を原料に、繊維やゴムやプラスチックなどの材料や、エネルギー資源まで作り出せる可能性があるという。スプレーだけで遺伝子改変を行う技術はどのように誕生したのか?そして植物から材料や資源を生み出すとはどのような研究なのか?新たなバイオ産業を生み出すための最新研究を追った。
主な取材先
野田口 理孝さん(名古屋大学)
赤木 剛士さん(岡山大学)
沼田 圭司さん(京都大学/理化学研究所)