“熱”とは何か?
記録的猛暑が続いた2023年夏。熱中症警戒アラートが頻繁に発令される中、街ゆく人々は日傘や手持ち扇風機などを用いて暑さをしのいでいた。
そんな暑さの元凶である存在「熱」は、実は私たちにとっては欠かせない存在である。例えば、日常的に使うエアコンや、トースターなどの家電製品で熱を操り、暮らしにも役立てている。
では、そんな”熱”とは何なのだろうか?
建造物の”熱”を操り快適さをコントロールする
この猛暑になると建物の中の温度も高温になる。東京大学の前さんは、一部の住宅や建築物では危険な暑さになる場合もあるという。それは太陽からの日射が屋根を温め、40度を超える高温の天井から赤外線が頭に降りかかってくることがあるというのだ。そんな危険な状況を解決するためには、建築物内の暑さや寒さ、快適さを自在に制御することが必要になる。熱から身を守り、快適な環境を作るための熱の制御技術に迫る。
熱の伝わりやすさを制御する材料
PCやスマートフォンなどの電子機器は、使用により熱が出るとパフォーマンスに悪影響が出る場合がある。もし、自身の持つ熱を自在に制御できる物質があれば、電子機器たちは革新的な進化を遂げるかもしれない。
東京工業大学の片瀬さんは温度によって、熱の伝わりやすさが変化する新しい材料を開発した。その材料は温度が低いと、熱を伝わりにくい断熱の効果を持ち、温度高いと、熱が素早く伝わる放熱の効果を持つという。この材料はどのようにして熱を制御するのだろうか?それは画期的な仕組みだった。
熱の方向を制御する技術
熱は赤外線と呼ばれる電磁波の形で空間を伝わる。東京農工大学の鈴木さんは、その熱を特定の方向に届け、将来的には熱エネルギーの回収などができるように、電磁波を制御する技術を研究している。現在、テラヘルツ波と呼ばれる種類の電磁波に着目し、指向性を持たせようと取り組んでいる。これからの社会に必要な新しい熱制御技術の最新研究に迫る。
主な取材先
前 真之さん(東京大学)
片瀬 貴義さん(東京工業大学)
鈴木 健二さん(東京農工大学)