老化とは何か?
古代中国を統一した始皇帝も、現代科学の礎となった錬金術も、追い求める先には常に「不老不死」があった。しかし、現代で重要視されているのは寿命を迎えるその直前まで元気でいること、つまり「健康寿命」だ。老いてもなお元気でいるために、老化のメカニズムを調べ、制御するための研究が進められている。
老いの原因!「老化細胞」
私たちの体で加齢に伴ってどんな変化が起こっているのだろうか?いま研究されているのは「老化細胞」だ。この老化細胞は体の中で年々増えてゆき、様々な炎症物質を出すことで臓器や組織の機能を低下させると考えられている。しかしこの老化細胞の詳細な性質は謎に包まれていた。その謎を解明すべく、ある特別な技術を使うことで、この老化細胞の性質を詳しく調べ、さらに特異的に排除する研究が進められていた。
老化の始まりは「遺伝子」から?
そもそも老化とは、何がきっかけで始まるのか。そのメカニズムを解明していくと遺伝情報の「ゲノム」に行きついた。身体を形作るために必要な「遺伝子」を含むこのゲノムは、年齢を重ねると共に様々な要因で傷つき、劣化して元の状態からかけ離れてしまう。そして、この劣化が一定の段階に至ると、身体は自らその細胞を殺してしまうのだ。その老化のスイッチとして、2つの遺伝子が浮上した。
老化は防げるのか!?
老化の始まりとなるゲノムの劣化。これがなければ老化しないのではないか?そこで遺伝子を壊れにくくする方法の研究がなされていた。この研究ではなんと体内のミトコンドリアが増え、細胞が若い状態を保つことができ、さらに全身の老化の進行を緩和することすらもできるのだという。
遺伝子や身体全体に至るまでその解明が進んでいる「老化」。そのスピードを制御し、より長く健康でいられる可能性が見えてきた。
主な取材先
丸山 光生さん (国立長寿研究センター)
中西 真さん (東京大学医科学研究所)
小林 武彦さん (東京大学定量生命科学研究所)
清水 宣明さん (新興和製薬)
今井 眞一郎さん (神戸医療産業都市推進機構/ワシントン大学(セントルイス)医学部)