コンクリート構造物の点検を高速化する技術の開発
私たちの暮らしを支えるトンネルや高架橋。それら点検の方法は、打音検査と呼ばれるコンクリートをハンマーで叩き、その音を聞き分けるものだという。しかし点検の対象となるトンネルや橋梁の数はあまりにも膨大にある。
今、そんなコンクリートの点検をより素早く行うための技術開発が進んでいた。その技術は、これまで人力で行われていた点検作業をレーザーによって代替することだというが、一体どのような技術なのだろうか?最新の検査方法に迫る。
暮らしを支える材料「コンクリート」とは?
何気なく目にしているトンネルや高架橋といったインフラ構造物。そもそもなぜこれらの構造物はコンクリートで作られているのだろうか?コンクリートとはどのような材料なのだろうか? コンクリートの試験場でその特性を見せてもらうと、優れた長所と意外な弱点が明らかになってきた。
鉄筋によるコンクリートの補強、長寿命化を目指す
コンクリートの弱点を補い強くする方法として内部に鉄筋を埋め込む方法がある。いわゆる鉄筋コンクリートだ。しかし鉄筋コンクリートで作られた構造物の中には、表面のコンクリートが剥がれ落ちてしまい、内部の鉄筋が剥き出しになっているものも見られる。その原因は鉄筋の腐食が関係しているという。コンクリート内部の鉄筋が腐食し、錆びて膨張することでコンクリートが剥がれて落ちているのだ。その問題を解決し鉄筋コンクリートの寿命を伸ばす研究が行われていた。
より安全で長寿命化を実現する最新コンクリート補強技術
一方で鉄筋とは別の方法でコンクリートを補強する取り組みも進められていた。それはバルチップ呼ばれる小さな樹脂の繊維をコンクリートに混ぜる方法だ。この繊維を混ぜることでコンクリートに粘り強さを与えることができ、さらになんと、もしコンクリートが劣化しても表面からコンクリートの塊が剥がれ落ちるのを防ぐことができるのだという。画期的な技術により進化を続けるコンクリートに迫る。
主な取材先
長谷川登さん(量子科学技術研究開発機構)
十河茂幸さん(近未来コンクリート研究会)
水上明さん (株式会社八洋コンサルタント)
竹田宣典さん (広島工業大学)
大島章弘さん (バルチップ株式会社)
森宗義和さん (バルチップ株式会社)