動物を“標本”にする
博物館に展示されている剥製や全身骨格。これらはその動物が生きていた姿を半永久的に保存するための“標本”であり、様々な科学研究に用いられている。中でも骨の標本である骨格標本は特に情報量が多く、それぞれの種の特徴が出やすいのだという。
恐竜の骨からその“声”が蘇る?
地中から発掘される骨からは、現代では絶滅してしまった動物の息吹を感じ取ることもできる。現在の鳥類にその系譜を残すと考えられていう恐竜の研究では、体表の羽毛の有無や体色についてなど、これまでに様々な発見がなされてきた。一方で、その“鳴き声“についての手がかりはこれまで全く無く、想像の域を出ることはなかった。しかし今年、世界で初めて恐竜の“喉の骨”の化石が発見されたことで、恐竜の音声研究が遂にスタートした。
江戸時代の日本人の顔
日本各地の遺跡からは、過去の文化を窺い知ることのできる遺物や遺構だけでなく人間の遺骨も見つかっている。土壌が酸性寄りの日本では多くの遺骨が風化して姿を消してしまっているものの、発見された貴重な遺骨は、文献にも残っていない様々な情報を現代に遺しているのだという。そして、江戸時代の武家と町人の遺骨を分析・平均化することで、その“顔”が令和の世に登場した。
骨を透かして骨を視る
私たちの体を支え、運度の軸として重要な役割をもち、さらに内臓としての役割が見出されている骨だが、この組織の中にはまだ謎が秘められている。特に血管や神経の構造についてはこれまでの技術では十分に解明されてこなかったが、その3次元構造を覗き見ることのできる“透視技術”が誕生した。これによって骨のどんな謎が明かされるのだろうか?
言葉では語りかけてこない骨。その声なき声に耳を傾ける。
主な取材先
国立科学博物館 川田 伸一郎さん
福島県立博物館 吉田 純輝さん
国立科学博物館 坂上 和弘さん
東京医科歯科大学 佐藤 信吾さん