ガリレオX

かわいい動物から厄介者へ ~外来種問題から考える人と動物の関わり方~

BSフジ
本放送:09月26日(日)昼11:30~12:00
再放送:10月03日(日)昼11:30~12:00

 かつてかわいい動物として外部から日本に持ち込まれた外来種が、いま農作物を荒らす厄介者に変貌を遂げていた。埼玉県ではアライグマが急増し、千葉県では小型のシカであるキョンが生態系を脅かしている。それによる被害は予想以上に深刻だ。外来種が野生化した原因は人間にある。同時にこの問題を解決できるのも人間だけである。今回、複雑な想いを持ちながらもこの問題に真摯に向き合う専門家達の取り組みを追うことで、解決の糸口が見えてきた。外来種対策の最前線に迫る。

いま外来種たちが問題を引き起こしている!
 埼玉県の飯能市の住宅地にアライグマが出没している。家庭菜園の農作物を荒らし、住宅の屋根裏に侵入。そしてそれまで生息してきた在来種に甚大な被害をもたらしてる。「このまま対策をしないと、生息数や被害額は急激に増加すると予想される」と県の対策担当者は語るが、その勢力拡大は止まるところを知らない。
 一方で千葉県の房総半島では、外来のシカ「キョン」が野生化し問題となっている。「繁殖のスピードが速いということで増加が止まらないという状況になっています」と県の担当者が説明するように、房総半島にはキョンのエサとなる植物が豊富であるため個体数が急激に増加してしまったのだ。
 このように急増し、生態系を脅かす外来種は「侵略的外来種」と呼ばれている。彼らが引き起こしてしまう人間社会や生態系への被害、その実状とは?

なぜ急速に増えるのか?手ごわい侵略的外来種
 ではなぜ外来種達は急激に増えてしまうのか?長年に渡って外来種問題に取り組んできた北海道大学の池田さんは、野生化した初期段階での対策が難しいためだという。初期の対策ができないため外来種は数年の潜伏期間の中で増加の準備を整え、その後急増期と呼ばれる段階を迎えてしまう。池田さんはこの現象は新型コロナウィルスの新規感染者の増加曲線によく似ていると指摘した。「コロナの感染者の曲線と非常に似たような急激な増加が見られています。同じような状況であることは理解できると思います」専門家が語る外来種達の手ごわい真の姿とは。

根本的な原因は人間の行いにある
 このように急増し被害をもたらすアライグマやキョンだが、彼らに罪はない。なぜなら国内に持ち込み野生化させたのは私たち人間だからだ。外来種問題の専門家である国立環境研究所の五箇さんは、アライグマが野生してしまった原因の一つはペットして飼育し切れなくなった個体を屋外に逃がしてしまう事例が頻発したことにあるという。
 「根本的な原因は人間でありその人間活動ですよね。一番悪いのは人間そのものということになるわけですけれども」と五箇さんは語る。この問題の根本を考えた時、人間の行いについて反省しなければいけない点は多く存在したのだった。

外来種対策の最前線
 とはいえ、日本の生態系に甚大な被害が出ている今、侵略的外来種への対策は不可欠だ。原因を作ったのは人間だが、同時にその対策ができるのも人間だけなのである。「畑を守るだけじゃダメなんですよ。実は個体数も減らさなきゃいけないということもありますので、やはり捕獲というのは積極的に進めていかなきゃいけないと……」と埼玉県でアライグマの対策を進める古谷さんが語るように、外来種対策の現場には命を奪うという苦渋の決断を求められながら対策を進める専門家達の姿があった。
 そんな彼らの取り組みを追うことで、この問題解決の糸口が見えてきた。


主な取材先
古谷 益朗さん(野生生物研究所ネイチャーステーション)
池田 透さん(北海道大学)
五箇 公一さん(国立環境研究所) 
安田 邦夫さん(元千葉県生活部自然保護課)
原田 祐介さん(猟師工房)
苅込 太郎さん(こもの工房)
東武動物公園
埼玉県庁
千葉県庁

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