ガリレオX

”さび研究”最前線 インフラ構造物を守る最新研究

BSフジ
本放送:03月22日(日)昼11:30~12:00
再放送:03月29日(日)昼11:30~12:00

私たちははるか昔から『鉄』を利用し、高度な文明社会を築いてきた。鉄は、まさに私たち人類が最も親しんできた金属だといえる。しかし、この金属材料には宿命とも言える弱点がある。『さび』である。鉄は時間が経てば必ず腐食し、さびる。そしてその『さび』は、見た目を悪くさせるだけでなく、鉄でできた構造物を弱らせていく。実は、この『さび』ができるメカニズムは未だ完全には解明されていないという。また現在、『さび』による建造物の老朽化が社会問題化しつつあるという。果たして、そうした問題への解決策はあるのか?  今回のガリレオXは、この『さび』にスポットを当て、そもそもさびとは何か、また鉄の宿命とも言える『さび』に立ち向かうために、今どのような取り組みが進められているのかを探っていく。

“さび”とは何なのか?
 「さび」とは一体何者なのだろうか。鉄の構造物でとりわけ目にすることの多い錆びだが、その正体は金属が酸化することによってできる生成物であり、実はすべての金属に錆びは発生するのだという。鉄はその汎用性の高さから私たちの生活に多用され、そして錆びの餌食となっているのだ。

さびを予測せよ!
 金属が錆びることで、何が困るのだろうか。今、特に問題となっているのが道路や橋などのインフラ構造物の老朽化である。その多くは50年以上前の高度経済成長期に作られた構造物であり、そこに用いられている鉄筋や鉄骨が錆びて強度の低下を招いているのだ。今後一斉にそうした構造物のメンテナンスが必要になるが、その数は膨大で、それぞれの状態を把握するための点検作業は進んでいないという。そこで実地の点検作業なしで今後のメンテナンス方針を決めるために、いまAIを用いた錆びの「腐食予想マップ」の取り組みが進められている。

さびを加速させる
 錆びで起こる現象にはいまだ不明瞭な部分が多く、現在の研究でもまだ完全には解明されていないという。特に鉄筋コンクリートの内部で起きる鉄筋の錆びは長い年月によって進行するため、実験室レベルでの検証が難しいのだという。そこで鉄筋コンクリート内部の腐食を促進させ、鉄筋の錆によって起きる現象を短時間で再現するする試験法の開発が求められていた。現在の技術によってどこまで腐食を促進することができるようになったのだろうか?

さびを利用する?
 金属の腐食による劣化を利用する試みも進められている。骨折した部位を補強したりするための骨固定材の材料として、患部の治癒と共に体内に溶けてなくなる金属を開発するというものだ。これによって完治した後に手術を行う必要がなくなるという。しかし、有望視されている金属材料は体内に入れた途端に腐食が始まってすぐに強度が保てなくなるという問題があった。その金属を実用化するためには腐食速度を抑制する必要があるのだ。その解決策として考えられた方法とは?
 金属の宿命である“さび”の最新研究に迫る。


主な取材先
物質・材料研究機構 片山 英樹さん
物質・材料研究機構 土井 康太郎さん
物質・材料研究機構 廣本 祥子さん

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