ガリレオX

ダイズ再発見! 縄文ダイズから現代豆乳の研究開発最前線まで

BSフジ
本放送:10月22日(日)朝08:28~08:58
再放送:10月29日(日)朝08:28~08:58

食の多様化、そしてコロナ禍を経て在宅需要が増えたことで、人びとの食生活に対する意識が変化している中、植物性たんぱく質食材である「大豆」とその「発酵食品」が注目されている。日本におけるダイズの栽培も、定説だった弥生時代からではなく縄文時代の中期にはもう始まっていたことが、近年の植物考古学からわかってきた。つまり約6000年もの間、わたしたちは大豆を食べ続けてきたことになる。さらに現在も、新しいダイズの育種(品種改良)が盛んで、たとえば青臭みやえぐ味の無い豆乳用の新品種が開発されるなどしている。また発酵食品としての大豆も、これまでの味噌や醤油や納豆にとどまらず、植物由来の乳酸菌を使った豆乳のヨーグルトが作られるなど、発展を続けている。しかもその植物由来の乳酸菌は、意外な伝統的発酵食品から見い出されたという。動物性たんぱく質に代わる未来の食の主役としても期待されているダイズの特質を再発見し、その研究開発の最前線に迫る。

ダイズことはじめ
ダイズと言えば、豆腐や豆乳といった加工食品から、味噌や醤油といった発酵食品まで、多くのイメージが浮かぶ。実はダイズにはたくさんの種類があり、用途に適したダイズ品種が使われている。ダイズという食材の特徴について、東京農業大学の前橋健二教授に話を聞いた。

おいしい豆乳をつくる技術①
シンプルに言えば、豆乳はダイズと水を合わせれば作ることができる。もう少し言えば、ダイズを砕き、熱水で絞るという工程になる。だが、そのままではあまり美味しいとは言えない豆乳になってしまうという。最新の豆乳は工場でどのように作られているのか?とある会社を訪ね、製造ラインを見せてもらった。

おいしい豆乳を作る技術②
よりおいしい豆乳を求めて、製造工程の技術的向上とは違う道筋もある。それは豆乳に適したダイズの「育種」、いわゆる品種改良だ。これまでの豆乳では、ダイズ由来の「青臭み」と「えぐ味」の要素がどうしても払拭できなかった。ならば、それぞれの原因物質を遺伝的形質として持たないダイズを育種することができれば、結果として豆乳の味が向上することになる。具体的に豆乳向けのダイズ育種がどう進められたのか、全国に農業研究機関を置く農研機構、西日本農業研究センターの髙田吉丈さんに話を聞いた。

覆った定説「ダイズ栽培は縄文時代には始まっていた!」
ダイズはいつから日本にあったのか?これまでの定説では、ダイズは弥生時代に稲作と一緒に渡来してきたと考えられてきた。ところが、長崎県島原市の大野原遺跡から、ダイズの圧痕(土器が柔らかいうちにダイズが押し当てられてできた痕)がある縄文時代の土器が見つかったのだ。この縄文ダイズを発見した熊本大学大学院の小畑弘己教授に、発見秘話を聞かせてもらった。

豆乳を発酵させた豆乳のヨーグルト?
ダイズの新しい加工技術として「豆乳のヨーグルト」というものがある。牛乳ではなく豆乳を発酵させて作られたヨーグルトだ。鍵となるのは乳酸菌だが、牛乳で働く乳酸菌は、豆乳を発酵させることはできない。乳酸菌を探し求めて、開発は難航したが、意外な食品からそれは見つかった。それは、長野県木曽地方の伝統的発酵食品「すんき」だ。すんきは塩をいっさい使わず、茹でた赤かぶの葉のみを乳酸発酵させた漬物で、独特の酸味が特徴だ。すんきの「植物由来の乳酸菌」を発見した高崎健康福祉大学の岡田早苗さんに、豆乳のヨーグルト開発成功の舞台裏について話を聞いた。


主な取材先
前橋健二さん(東京農業大学)
髙田吉丈さん(農研機構 西日本農業研究センター)
小畑弘己さん(熊本大学大学院)
山下祐雨さん(島原市教育委員会 文化財保護推進室)
岡田早苗さん(高崎健康福祉大学)
岩崎充弘さん(マルサンアイ)
山下順弘さん(マルサンアイ)
堀和紀さん(マルサンアイ)

トップへ戻る