ガリレオX

地盤を科学する 軟弱地盤を“強靭化”せよ

BSフジ
本放送:04月25日(日)昼13:35~14:05
再放送:05月02日(日)昼11:30~12:00

 私たちが暮らすこの日本列島の足元は、実は非常に脆弱だという。人口が集中する平野部は比較的新しい地層でできた軟弱地盤となっており、さらに世界に類を見ない複雑な地殻が地震をもたらすからだ。さらに造成地等の砂地盤では液状化現象も頻発する。そこで求められるのが軟弱地盤の「強靭化」だ。  人々は長年にわたり、様々な地盤改良技術を模索してきた。今回は地中に砂の柱をつくり地盤を強化する工法や、微生物を利用する新技術を取材した。建物と私たちの命を守る、地盤の科学に迫る。

ニッポンの特殊な地盤
 大地震が頻発し、国土のほとんどが山に覆われている日本。この地底では4枚ものプレートがせめぎ合っており、平野は山が雨風で削られた堆積物で成り立っている。近年の人口の増加に伴って、元々地盤が安定している土地は使い果たされたため、住むところを確保するために急峻な山を開発し海を埋め立ててきたものの、これらの土地は脆弱になりがちなのである。そしてそんな不安定な地盤の上に立つ建築物は、しばしば地震などによって被害が発生している。

軟弱地盤とは何か?
 では地盤は何をもって「軟弱」とされるのだろうか?それは建設される構造物の安全を担保できるのかどうかで判断される。例えば海の中に埋立地を作る場合、水面からの高さは僅かに見えるものの、海底からの総高で3階建のビルに相当する。しかし大方の海底地盤はこのような大型の構造物を支持できない「軟弱地盤」となっているため、対策を講じる必要があるのだ。

軟弱地盤を強靭化せよ!
 地盤を強化する方法は様々あり、その場所と土質に応じてその方法を使い分ける必要がある。横浜港の護岸工事現場では、海底に直径2mほどの砂の杭を1万本以上打ち込むことで地盤を強靭化していた。また東京の臨海エリアの住宅地でも、新たな建築の準備として埋立地の地盤に砂の杭を打ち込んで強靭化する工事が行われていた。

進化する地盤改良技術
 従来の地盤改良技術の概念を超えた新技術も研究開発されている。不動テトラで開発されているのは、地中の空隙に充填することで地盤を強化する素材だ。砂に特殊な薬剤を混ぜ込んだ材料は液体と個体の両方の性質を持ち合わせているため、空隙の複雑な形状をも埋め尽くすことができるという。
 広島大学でも新たな地盤改良方法が開発されていた。それは海底の微生物が持っている、炭酸カルシウムを結晶化させる能力を利用して地盤を改良させる方法だった。


主な取材先
北詰 昌樹さん(東京工業大学)
森川 嘉之さん(港湾航空技術研究所)
畠 俊郎さん(広島大学)
不動テトラ
千葉エンジニアリング

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