遂に完成「JT-60SA」
茨城県北部の那珂市に世界最高峰の性能を持つ “ある装置”が完成した。高さ16m・幅20mと奈良の大仏をも凌ぐ大きさを誇るこの装置はJT-60SAといい、核融合と呼ばれる反応を研究するための実験装置だそうだ。そしてこの核融合の研究の到達目標は、核融合によって生み出したエネルギーを発電に利用することだという。
核融合って?燦然と輝き続ける太陽
核融合とはそもそもどのような反応なのだろうか? 核融合は太陽が輝くメカニズムそのものだという。太陽の中心部は超高温・超高圧となっていて、そこでは水素原子の中にある原子核同士が衝突することで融合し、エネルギーを生み出しながら別の重い原子へと変わる反応が起きている。このような核融合で太陽は輝き続けているのだ。そしてなんと、この反応を地球上で再現させようというのだ。一体、どのようにして核融合を起こすというのだろうか。
JT-60SA、始動
茨城県那珂市のJT-60SAは今年中に実験を開始する見込みだ。しかし、予定では核融合による発電はしないという。では一体何を行うのだろうか?ここでは、核融合を起こすのに必要不可欠な「プラズマ」を発生させ、その性能を調べ向上させていく実験に取り組むという。そして現在フランスで建設中の実験装置の成果と併せることで、核融合発電の実現を目指すという。
国産核融合実験装置LHD
岐阜県土岐市にあるLHDは日本独自に考案された仕組みを持つ世界最大級の核融合実験装置だ。この装置は独特な形状のコイルを備えており、その特徴によってプラズマを長時間保持することができるのだという。そしてこのように多角的に進められる核融合の研究が、将来の発電所を実現するためには必要不可欠なのだった。
主な取材先
名古屋大学 藤田 隆明さん
量子科学技術研究開発機構 栗原 研一さん
量子科学技術研究開発機構 森山 伸一さん
量子科学技術研究開発機構 井手 俊介さん
自然科学研究機構 核融合科学研究所 森﨑 友宏さん