ガリレオX

探訪!リニア中央新幹線 技術の粋を集めて進む、最新インフラ工事

BSフジ
本放送:12月24日(日)朝08:28~08:58
再放送:12月31日(日)朝08:28~08:58

 品川から大阪まで約438kmを結び、半世紀に一度の交通革命と言われる「リニア中央新幹線」。最高時速500kmの超電導磁気浮上方式で走るその計画ルートでは、いま巨大インフラ工事が着々と進められている。都市部では大深度地下トンネルを通り、山岳エリアでは山脈を掘りぬいて日本の東西を直線的に結ぶという、土木史に残る挑戦的な工事だ。例えば、南アルプスのトンネル工事区画には、性質の異なる様々な岩盤の層がいくつもあり、さらに地殻運動によってできた大規模な断層線である構造線や、水をふんだんに含んだ断層破砕帯も存在している。それら難関に挑む山岳工法と呼ばれるトンネル工事では、どんな重機が活躍し、どんな掘削技術が使われているのか、またトンネル内に湧き出てくる地下水や、発生土をどのように処理するのか、自然環境への配慮はどのようにされているのか?番組では、おもに南アルプスのトンネル工事に焦点を当て、実際の工事現場の取材や、関係者および有識者へのインタビューなどにより、日本の技術の粋を集めて進む工事の全貌を探っていく。  また、それらの工事に関わる人々のこのプロジェクトにかける情熱とそこに投入された最先端の技術力を伝えると共に、こうした取り組みの意義についても考える。

夢のプロジェクト最大の難所“南アルプストンネル
「リニア中央新幹線」…その最高時速は500km。品川〜大阪間の約438kmを最速67分で結ぶプロジェクトが今、着々と進められている。この計画には、都市部では大深度地下トンネルを通り、山岳エリアでは山に掘られたトンネルを抜けて運行するという、難易度が高く、前例の無い巨大インフラ工事が必要となる。
 中でも最大の難所と言われる南アルプストンネル工事は、性質の異なる様々な岩盤の層に加えて、構造線と呼ばれる大断層をも貫く、これまでにないトンネルになる。そんな南アルプストンネルについて、地理的な要素に注目しながら、どのような特徴を持つトンネルなるのか探っていく。

トンネル工事の全貌
 実際に南アルプストンネルでは、現在どのような工事が行われているのだろうか、山梨県工事ヤードから車に乗り込んで、長いトンネルを進んでいくと、切羽(きりは)と呼ばれる掘削面に到着した。そこでは普通乗用車をゆうに超える大きさのドリルジャンボという重機によって、穴の採掘が行われていた。次の工程でこの穴に爆薬が詰められ、発破により掘削が行われるというのだ。
 工事を統括するJR東海によると、作業が順調に進めば1日4〜5mの掘削ができるのだという。交通革命を実現させるための、日々進む南アルプストンネル工事の最前線に密着した。


静岡工区と水資源の扱い
 南アルプストンネル掘削予定区間の中で、実はまだ静岡県の工区はトンネル工事が進められていない。それは、「トンネル工事によって静岡県を流れる大井川の水の量が減ってしまうのではないか?」などの考えにより、静岡県が工事にGOサインを出さないためだ。
 それに対してJR東海は、トンネル内の湧水を、ポンプアップと、導水路トンネルによって大井川に戻すという対策を立てていた。
 他にも、「地下水が減ってしまうのではないか?」といった疑問や、「大井川の流量が増大したり、減少したりしないか?」などの疑問にJR東海はどのような施策を打ち出しているのか?また国の有識者会議はどのような中間報告をまとめたのか?大井川の水問題について関係者に話を聞いた。


トンネル工事の宿命、“盛土”との向き合い方
 トンネルは掘れば掘るほど当然、土が出る。トンネル工事を行う上では、発生土をどのように扱うかが重要になってくる。
 長野県の豊丘村では、そんなトンネル工事の発生土を、盛り上げ、人工的に新たな土地を作る「盛土」がおこなわれている。「土を盛る」という、ただ土を積み上げるだけの工程に聞こえるこの盛土だが、実は様々な工夫が施されている。盛土の技術とはどのようなものなのか?地盤工学の専門家を訪ね、土の締固めや水による崩壊のメカニズム、そして盛土の活用法について詳しく聞いた。


主な取材先
朝倉 俊弘さん(トンネル工学研究会)
福岡 捷二さん(中央大学研究開発機構)
小高 猛司さん(名城大学)
渡辺隆さん(JR東海)
永長隆昭さん(JR東海)

トップへ戻る