ガリレオX

フードテックで未来が変わる 代替肉から考える、肉食とは何なのか?

BSフジ
本放送:02月23日(日)昼11:30~12:00
再放送:03月01日(日)昼11:30~12:00

 食べ物をとりまく技術革新、いわゆるFood Tech (フードテック)への注目が集まっている。フードテックとは、3Dフードプリンター、昆虫食や代替肉などの次世代食品、そして自動調理ロボットまで含む、ヒトと食との関係を、未来へと推し進める新技術だ。その中でも植物由来のタンパク質で作られた代替肉の世界市場での存在感は群を抜いている。人はなぜ肉を求めるのか。肉食とは、これまでの人類の進化にとって、そしてこれからの社会の変化にとってどんな意味を持つ行為なのだろうか。料理と科学のこれまでを紹介しながら、単に栄養を摂るための行為から遠く離れた場所に着地しつつある新しい「食」テクノロジーについて考える。

「食」を科学する
 宮城大学の石川伸一教授の研究室では分子調理学に基づいた研究が行われていた。実験室で見せてもらったのはカレーのルーとライスをゲル化し、一本の麺として合成してしまうという「カレーライス麺」の試みだ。また、ラーメンの麺、スープ、チャーシュー、メンマ、なると、ネギ、卵といった構成要素を一度「料理の式」で表現し、その式を組み換えることで、ラーメンの要素を使った新しい料理を考案するなど、可能性は広がる。

「食」×テクノロジー=フードテック
 いま、食と料理の世界に旋風を巻きおこしているのが「フードテック」だ。フードテックには料理を合成する3Dフードプリンタや、アクアポニックスのような循環型有機農業、そしてIoT調理家電やディープラーニングを活用した自動調理ロボットなど幅広いジャンルが含まれている。提言書「この国の食と私たちの未来地図」を作った農林水産省の若手有志グループTeam414の渡辺一行さんと加地榛名さんによると、フードテックに期待されているのは、食の安全や人材不足、食料不足、環境問題など、複雑で全地球規模な問題の解決だという。中でも現在の動物肉に代わる植物由来の「代替肉」はフードテックの台風の目となっているようだ。

代替肉のお味のほどは?
 ある米国企業の予測によると、食肉のうちの植物由来の代替肉と人工的に作られる培養肉を合わせたシェアが、2040年には6割にまで達するとされている。海外での代替肉ブームに応じて、日本でも大丸心斎橋店のフードコートに、UPGRADE Plant based kithenというデリが出店し話題になっている。また、食品加工メーカーの日本ハムが、大豆やこんにゃく等を原料にして作ったハムやソーセージなどの開発に乗り出しており、2020年の春からその販売が始まる。ハムやソーセージに求められる味や食感を、肉を使わずに再現するのは容易ではなく、開発には多くの試行錯誤があったようだ。完成した製品をスタッフが実際に試食。はたしてそのお味は・・・?

人類にとって肉食とは何なのか?
 現代人にとって肉を食べることは重要な食生活の一部となっているが、実は人類進化の点から考えても、肉食が人類の進化に果たした役割は大きいと語るのは、国立民族学博物館の野林厚志教授だ。私たちの祖先は肉を食べることで、歩行形態、小腸の長さ、そして脳の容量が劇的に変化したというのだ。さらには、狩猟採集時代に「肉を分け合い共に食べた」ことが、文明の発生にも繋がったとする「饗宴説」が研究者の間で話題になっているという。文化ごとにも大きくその価値観が異なる「肉食」という営みを、これから対話を重ねながら人類全体の方向としてどうやってまとめていくか、次世代への責任が問われている。


主な取材先
石川伸一さん(宮城大学 教授)
小村勝さん (日本ハム)
長田昌之さん(日本ハム)
野林厚志さん(国立民族学博物館 教授)
福田彩香さん(不二製油グループ本社)
渡辺一行さん(農林水産省の若手有志チーム Team414)
加地榛名さん(農林水産省の若手有志チーム Team414)

トップへ戻る