ガリレオX

脳をつくる 人工培養された脳が拓く新たな科学

BSフジ
本放送:12月10日(日)朝08:28~08:58
再放送:12月17日(日)朝08:28~08:58

私たちの意識や記憶、そして学習などを司る脳。その仕組みにはまだ多くの謎がある。 脳を知るための方法は、これまでモデル動物や人間の脳など、実物の脳を詳しく 調べるというアプローチが一般的だった。しかし今、それと真逆のアプローチ、つまり「脳をつくる」ことで理解するという工学的な新たな研究が進められている。 はたして脳を作るとはどういうことなのか?そしてそれによってどのようなことが理解され、またどのような新技術が期待されているのか?人工培養された脳が拓く新たな科学に迫る。

ヒトの脳神経細胞を使って、脳の3次元構造を再現する!
未だ多くの謎を秘める脳。もしも脳を人工的に作り出すことができれば、その謎に迫れるかもしれない。
東京大学生産技術研究所の実験室では、人工的に脳をつくりだすための研究が続けられていた。池内准教授が開発するのは、ヒトの脳の神経細胞を培養することで作り出される「脳オルガノイド」と呼ばれる組織。別名「ミニ脳」とも呼ばれている。
「幹細胞から作られていて、脳の中の神経とかいろんな細胞がたくさん入っている。できかけの状態ですけど、脳の中の構造が真似できているようなそういった人工的に作られた組織のことです」
脳オルガノイドはどのように作られるのか?研究の最前線に迫る。


培養された脳神経細胞で作られた人工培養脳!
私たちの脳の情報処理は、主に神経細胞の活動によって行なわれている。人工的に培養した神経細胞を使って情報処理ができないか?そんな研究も進められていた。
東北大学電気通信研究所では、脳の神経細胞を使った新たなデバイスを開発し、それによって情報処理を行なう研究が続けられている。山本准教授が開発を進めるのが、ラットの脳神経細胞を電子回路のように配置し、培養させた人工培養脳だ。
「実験動物から脳の神経細胞を採取してきて、特殊な加工をしておいたデバイスをガラスのシートに張り付けて、その上で細胞を育てます」
人工培養脳を用いて情報処理を行なう事ができるのか?それを確かめる実験が始まった。


脳の働きを数学的に理解し、脳型人工知能をつくる!
脳の働きは、私たちの認識や学習、そしてそれに伴う行動などを司っている。もしもそれら脳の働きを、数学的に解明できれば、コンピュータ上で脳のように働く人工知能ができるかもしれない。
理化学研究所脳神経科学研究センターの磯村さんは、脳の働きを数学的に解明する試みを進めている。磯村さんが目指すのは、脳を数学的に解明することによって、人間の気持ちを理解できる人工知能を作り出す事だという。
「今後、もし家庭に1台ロボットが当たり前になる時代が来た時にちゃんと人間がどういう風に感じているのかを理解することが必須になってくる訳ですね。人間のことが理解できないけど、高度な知能を持った機械っていうのはちょっと危ないので、そういう意味でもできたら人間と共感できるっていうのが重要かなと思います。」
ではどのように脳を数学的に理解するのか?そのカギを握るのは脳の働きを解明するための2つの理論だった。脳を理解し、脳の働きを再現するための試みを追った。


主な取材先
池内 与志穂さん(東京大学生産技術研究所)
山本 英明さん(東北大学電気通信研究所)
香取 勇一さん(公立はこだて未来大学)
磯村 拓哉さん(理化学研究所脳神経科学研究センター)

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