いま動き出す「KAGRA」
岐阜県の山奥で、いまKAGRAと呼ばれる巨大観測装置が日の目を浴びようとしている。KAGRAが観測するのは宇宙からやってくる「重力波」という現象だ。そのため、この観測装置は2012年から1000m地下に建設が行われの鉱山跡地に建設されてきた。その全長はおよそ3kmにも及ぶ。現在調整中のこの装置は年内の観測開始を目指している。
重力波をどうやって捉えるのか?
重力波はアインシュタインが一般相対整理損発表した一般相対性理論によってその存在が予言されたから考えた時空の歪みが波のように伝わる現象だ。で、「時空のさざ波」とも呼ばれる現象で、KAGRAはその特徴である2本の長い“腕”で、宇宙の遥か彼方からやってきた重力波を捉えるのだという。現在、同規模の重力波観測装置が3台稼働しており、アメリカで2台、イタリアで1台が昼夜を問わず重力波を探っているという。
ノイズを減らせ!
重力波の観測は非常に難しい。それは、地球に到達した時点で大きく減衰してしまっているため非常に小さな信号になってしまい、地球上の様々な雑音(ノイズ)によって重力波の信号が埋もれてしまうからだ。この観測の妨げとなるノイズを低減させるべく、KAGRAはこれまでにない様々な工夫を取り入れていた。
期待が高まる重力波天文学
重力波は従来の望遠鏡で捉えられてきた光や電波とは全く違う波のため、であり、2015年に初めて重力波が観測されたのをきっかけに、重力波天文学という新しい分野が登場した天文学が幕を開けた。それは分野は全くの未開拓地ともいえる。この発展著しい新分野がこの始まったばかりの新しい分野の観測方法を使って、従来の望遠鏡と共に宇宙を覗くことで、これまで謎とされてきた様々な天体現象の観測が加速していく事がと期待されているのだ。
重力波天文学にKAGRAが加わることによって、はたして宇宙はどんなメッセージを聞かせてくれるのだろうか。
主な取材先
大橋 正健さん(東京大学)
三代木 伸二さん(東京大学)
宮川 治さん(東京大学)
都丸 隆行さん(国立天文台)
麻生 洋一さん(国立天文台)