ガリレオX

鬼の正体 今の日本があるのは鬼のおかげ?

BSフジ
本放送:02月27日(日)昼11:30~12:00
再放送:03月06日(日)昼11:30~12:00

 日本人なら誰もが知っている「鬼」。その正体とはいったい何なのだろうか?妖怪のような存在?あるいは神? その歴史に詳しい研究者によると、かつて鬼は、目には見えない恐怖の存在であったという。しかし、現在の鬼と言えば、赤い肌で額に角、手には鉄の棍棒といった出で立ちが定着している。またその性格は凶暴一辺倒とは限らず、時として優しく、気弱な時さえある。  一体いつ、どのようにして、鬼は目に見える存在へと変化し、いまの出で立ちとなったのか?鬼にまつわる研究と、全国に残る鬼の伝説から、その正体を浮き彫りにしていく。

鬼は外!の鬼の正体
 「オニはソト!」節分の日に豆を投げられ、追い出される鬼たち。実は鬼の色には意味があるという。仏教の5つの煩悩、すなわち五蓋(ごかい)に結び付けられているそうで、節分の際には、打ち勝ちたい煩悩の色の鬼に豆を投げると良いとされている。

赤鬼=欲望、青鬼=憎悪、緑鬼=倦怠、黒鬼=疑心、黄鬼(白鬼)=甘え、など。

 ところで何故、私達は、鬼に向かって豆を投げ、「悪しきもの」として追い出そうとしているのだろうか?そもそも鬼とはどのような存在なのか?その理由を探るため、鬼の歴史に迫った。

能面に秘められた鬼の正体
 能は南北朝時代に成立し、多くの曲が生み出され、それに伴い様々な面(おもて)が創作されたという。能では、恵みをもたらす神や、荒ぶる神、得体のしれない妖など、人間ではないものが数多く描かれ、物語の奥深さを作り出すことに一役買っている。
 その中でも様々なドラマを内包する存在として描かれるのが「鬼」。亡くなったのちに悪鬼を退治するようになった鬼や、この世で受けた仕打ちによって悲哀を秘めて変化した鬼など、能に登場する鬼は、単純に退治される存在とは言い難い役割をもっている。
 また能面師に訊くと、鬼の能面には、あまり知られていない鬼の一面が表現されているという。能面で描かれる鬼の正体を探る。
 
桃太郎に退治される鬼の正体
 誰もが知る代表的な日本の昔話である、桃太郎の鬼退治伝説。
ところで、桃太郎が退治した鬼は、どんな悪事をしでかし、退治されてしまったのだろうか?「伝説だから理由などない」と思うかも知れない。しかし、伝承が残る地域の遺跡や、歴史的背景を鑑みると実は、「伝説には史実が眠っている」と民俗学者はいう。
民俗学の視点から、桃太郎の鬼退治伝説を見ると、これまでにはない桃太郎のストーリーが見えてきた。

テクノロジーの鬼!の正体
 日本各地に今も残る、鬼にまつわる伝承を調べていくと、驚くべき鬼の正体が浮かび上がってきた。そして、その正体が正しいのであれば、鬼と日本社会の意外な関係が見えてきた。世界トップクラスを誇る、今の日本インフラがあるのは、実は鬼のおかげかも知れないというのだ。伝承研究から浮かび上がってきた鬼の正体とは…。


主な取材先
八木 透さん(佛教大学/世界鬼学会 会長)
宇髙 景子さん(能面師)
森栗 茂一さん(神戸学院大学)
中尾 聡史さん(京都大学)

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