黄砂とは、何なのか?
黄砂の発生源は、主にユーラシア大陸東側のゴビ砂漠とタクラマカン砂漠であると考えられており、これらの砂漠に吹き荒ぶ風で砂が巻き上がり、偏西風に乗って日本に到達することを黄砂、または黄砂現象という。この黄砂の大きな特徴はその粒子の大きさで、肉眼では霞としか認識できないほど細かい。なぜなら、大きくて重い粒子は発生源から比較的近くで落下してしまうため、日本にはごく細かい砂のみがやってくるのだ。
黄砂は人体にどんな影響をもたらすのか?
黄砂による被害は、視界が霞むことで航空機が欠航になったり、車や窓ガラスが汚れるだけではない。人体に対しては、さまざまなアレルギー疾患を誘発したり、呼吸器疾患をもたらす可能性が示唆されており、近年では国内で黄砂が確認された日の翌日に心筋梗塞の発症数の増加も報告されている。しかし、その原因は黄砂自体ではない可能性も浮上している。
黄砂は環境にどんな影響をもたらすのか?
黄砂は自然環境にはどんな影響をもたらしているのだろうか?実は太平洋北西部でサンプリングされた海水中から多数の砂粒が見つかっており、これは日本を飛び越えて海に着水した黄砂と見られている。そしてこの黄砂から溶け出した金属成分が、海の生態系を支えているという。海の中に、黄砂は何をもたらしているのか?
黄砂から過去の地球環境を読み取る?
樹木の年輪から過去の気温を読み取ったり、洞窟の鍾乳石から過去の降雨量を読み取るように、黄砂から過去の風を読み取る研究が行われている。調査が行われたのは富士五湖の本栖湖だ。なんでも、この本栖湖でなければ黄砂は他の土砂に紛れ込んで見分けがつかなくなってしまうのだという。そしてこの調査から、過去の偏西風の軌道がみえてきた。
主な取材先
長島 佳菜さん(海洋研究開発機構 )
小島 淳さん(桜十字八代リハビリテーション病院)
横山 祐典さん(東京大学)