失った機能を再建する『人工神経接続』
私たちのカラダは、脳から出た信号が脊髄を通って筋肉に到達し、筋肉が信号に反応して適切に収縮することで動いている。この信号の大動脈ともいえる脊髄が損傷してしまうと、人間のカラダは思った通りに動かなくなってしまう。東京都医学総合研究所の西村さんは、損傷した脊髄の部分を迂回し、接続するを『人工神経接続』という技術の研究を進めている。その実験では、脚が歩行するように動く様子が見られた。
自分のカラダは今どこに?
例えばテーブルの上のコーヒーを飲もうと思った時、自分の手は当然のようにピッタリとコップの取手に到達し、さらにコップの淵をピッタリと自分の口に到達させてコーヒーを飲むことができる。このように自分のカラダを適切に動かすことができるのは、心で“身体図式”という“自分の体のそれぞれの部位が今どこにあるのかを把握する概念”が働いているからだとされている。東北大学の松宮さんは、この身体図式を可視化することに成功した。『心の中にあるカラダ』はどんな形だったのだろうか?そこではどのような発見があったのだろうか?
未然にリスクに備えるカラダ
スポーツバイオメカニクスの研究に取り組んでいる奈良女子大学の藤原さんは、人のカラダは合理的に動いているのだと話す。そのわけは、藤原さんは柔道における駆け引きから着想を得た『予測による動作の違い』の実験を行っており、体の動きを詳しく計測したからだ。この実験によって人間が“押す”動作に対してどんなリスクに備えているのかが見えてきた。
主な取材先
西村 幸男さん(東京都医学総合研究所)
松宮 一道さん(東北大学)
藤原 素子さん(奈良女子大学)