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欧州で進む!原子力新ルネサンス エネルギー利用の新たな潮流

BSフジ
本放送:10月23日(日)昼11:30~12:00
再放送:10月30日(日)昼11:30~12:00

今、欧州を中心に原子力発電復興の気運が高まっている。原発への依存度を下げる政策を打ち出していたフランスは、今年2月、今後最大で14基の原子炉を新たに建設することを表明。さらにこれまでの方針を軌道修正した。また今年4月にはイギリスも原発を最大8基新設する計画を発表。欧州委員会が原子力を環境に優しい「グリーンエネルギー」として認める方針を打ち出したことから欧州域内の多くの国で原子力発電見直しの動きが加速している。 そうした中、全原発を停止する方向性を堅持しているドイツはロシアから供給される天然ガスの寸断によって、計画の完遂が危ぶまれている。 原子力をめぐる世界の動勢に、いま何が起きているのか?日本にとって原子力利用のあるべき姿とは何かを考える。

フランスで再び原子力ルネサンス
 2021年11月、フランスのマクロン大統領がこれまでの原子力発電への依存度を下げる方針を転換すると発表した。そして、2022年2月には原子力発電所を6基増設する計画を表明。2037年には新型炉の稼働を開始する予定だという。この方針に対してフランス国民はどう感じているのだろうか?

イギリスも原発増設を表明!
 2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻で、欧州は未曾有のエネルギー危機に陥っている。これまでロシア産の天然ガス・石油・石炭に大きく依存してきた欧州各国は、エネルギー政策を大きく転換することを余儀なくされている。イギリスもまた、このウクライナ侵攻の余波を受けており、2030年までに最大8基の原子力発電所を増設すると発表した。日本と同様の島国であるイギリスは、いかにしてエネルギー源を確保する計画なのか。

ドイツでの脱原発の行方
 欧州でもとりわけ強硬に脱原発を進めてきたのがドイツだ。気候変動対策の観点からも、ドイツはこれまで再生可能エネルギーを拡充する方針を進めており、2030年には電力消費量における割合の80%を再生可能エネルギーに、20%を天然ガスにする計画を進めていた。しかし、この天然ガスはロシアからドイツへつながるパイプラインに大きく依存していたことから、ドイツもまたエネルギー政策の方針転換を余儀なくされている。発電だけでなく暖房にも天然ガスを用いていたドイツは、本格的な冬を前にして試練の時を迎えている。

欧州はいま
 欧州議会は、持続可能な活動の分類「EUタクソノミー」に原子力を加えることを決定した。EUタクソノミーは、気候変動の緩和に貢献する経済活動を明示したリストで、これに加えられたことで、今後、新たな原子力発電所の建設や既存設備の改修などに投資を呼び込みやすくなるという。欧州全体で、さらに隣国の韓国でも原子力のあり方が見直されている中、日本も脱炭素とエネルギー安全保障の面から原子力発電をどうするか、議論が進められている。


主な取材先
熊谷 徹さん(在独ジャーナリスト)
マッシモ・ガリッバさん(EU委員会エネルギー総局 副総局長) 
ヴァレリー・フォードンさん(S.F.E.N.フランス原子力エネルギー協会) 
ファビエンヌ・ドゥラージュさん (フランス大使館)
フォルカー・クヴァシュニングさん (ベルリン工科経済大学)
ほか

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