山奥の巨大バッテリー
夜間電力を使い低いダムから高いダムへ水を汲み上げ、電気エネルギーを位置エネルギーに変換する揚水ダム。それはいわば、“水を使って充電する”巨大なバッテリーである。発電と揚水の2つの役割をこなす巨大な水車が、地下500mの大空間に隠されていた。
回転する円盤に電気を貯める
東京工業大学の嶋田研究室ではフライホイール蓄電装置を開発している。電気を回転する円盤(フライホイール)の運動エネルギーへ変換して貯蔵するこの装置は、仕組みがシンプルで安全性が高いという。莫大な電力を必要とする核融合の研究施設では、重さ600トンの鋼鉄製のフライホイールが稼働していた。
超電導でフライホイールを回す?
JR東海では、フライホイールのエネルギー効率を高める驚きの研究が進められている。超電導コイルによって強力な磁力を生み出し、巨大な鉄のフライホイールを宙に浮かせ、摩擦によるエネルギーロスをなくそうという技術である。
超電導で電気を電気のまま貯める?
超電導により電気抵抗がゼロになる現象を利用して電力を貯める研究も進められている。電気抵抗がゼロになったコイルに電気を流して強力な磁界をつくり、その磁界によって回路内に流れ続ける電流を、必要なときに取り出すという技術だ。
NAS電池 化学反応で電気を貯める
「充電池」によって大容量の電力を貯める技術はすでに確立されている。鉛電池にくらべ3倍もの電気を貯めることができるNAS電池だ。大型化が容易で、停電時の補助電力や安価な夜間電力の有効利用を目的に、すでに多くの施設に設置されている。
主な取材先
嶋田隆一さん(東京工業大学)
野村新一さん(東京工業大学)
松川誠さん(日本原子力研究開発機構)
五十嵐基仁さん(JR東海)
井上潔さん(東京都下水道局)
渡部繁則さん(東京電力)
良知秀樹さん(東京電力)



