翼をもつ船?
飛行艇を下から眺めるとまるで船底のような形をしている。遠い外洋上の目的地へ飛び、船のような機体で水面に着水。ふたたび大空へ飛び立つことできる。航行中の船舶で発生した急患のもとへも駆けつける姿は、まるで空飛ぶ救急車。飛行艇は滑走路を必要としない驚くべき乗り物なのだ。
飛行艇先進国だった日本
1930年代、航空機の主役は飛行艇だった。世界中で様々な飛行艇がつくられ、大空と大海原を舞台に活躍していた。なかでも日本は、突出した性能を持つ飛行艇を製造していた。その代表機と言えるのが1936年に川西航空機が開発した九七式飛行艇とその後継機である二式飛行艇だ。
日本の飛行艇技術は今どこへ?
戦後、日本は7年間に渡りGHQによって航空機の開発を禁止される。世界一の飛行艇技術をもつ川西航空機も例外ではない。しかし、飛行艇開発の火は消えなかった。川西航空機は社名を「新明和工業」に変え、航空機製造で培った技術を他の産業へ活かすことで企業としての基盤を築きながら、飛行艇の開発技術を継承してきたのだ。
命を守る飛行艇、その驚きの性能
飛行艇US-2は現在、海で発生した遭難者、負傷者を救助する救難飛行艇として海上自衛隊が運用している。飛行艇に乗り込む隊員たちは任務に備え、日々外洋を舞台に救難訓練を続けている。訓練に密着したカメラが捉えた飛行艇US-2の驚異的な性能とは?
飛行艇で火災に挑む
技術者たちは今、US-2を「消防飛行艇」へ転用するための研究を進めている。JAXAの風洞設備で行われている放水実験や、飛行シミュレータによる消火実験などを取材。消防用ヘリコプターではまねのできない飛行艇ならではのメリットとは?
主な取材先
小林修さん(神奈川工科大学)
深井浩司さん(新明和工業)
藤本記永さん(新明和工業)
尾崎充律さん(新明和工業)
杉本直彦さん(新明和工業)
立石和孝さん(海上自衛隊第71航空隊)
郷田雄志さん(新明和工業)
伊藤健さん(JAXA)
村岡浩治さん(JAXA)
諸隈慎一さん(JAXA)



