ガリレオチャンネル

ga101218_1

人間の存在感とは何か? アンドロイドに宿った心

本放送:12月18日(土)夜18:42~19:30
再放送:12月26日(日)朝8:00~08:30

私たち人間がもつ「存在感」。心が“そこにある“ことを感じさせるのは、外見なのか行動なのか? 人間らしさの本質とは何なのか? ロボット工学者・石黒浩教授は、人間と同期して動くアンドロイドをつくることで、この問いに答えようとしている。人と繋がり“心”を宿したアンドロイドに、我々は何を感じるのか? 驚くべき研究の最前線に迫った。

アンドロイドが心を宿す?
2010年11月、平田オリザ氏脚本演出の二人芝居が上演された。出演者の一人は、限りなく人間の女性に近いアンドロイド・ジェミノイドF。俳優が遠隔操作するジェミノイドF は、「死を目前にした女性のために詩を朗読するアンドロイド」という役を演じ、その圧倒的な存在感で観客を魅了した。ジェミノイドFを作ったロボット工学者・石黒浩教授は、アンドロイドがどこまで人間に近づくことが出来るのかを試したのだという。

なぜアンドロイドをつくるのか?
ロボットの見かけは、どれぐらい人間に近くあるべきなのか? 当初は、いかにもロボットらしい見た目をもつロボットの研究をしていた石黒教授は、このような疑問を抱いた。そこから、「人間らしさとは何か?」「人間の存在とは何か?」という根源的問題を、アンドロイドをつくることで解明しようという研究がスタートした。

レスポンス(応答)から感じる人間らしさ
アンドロイド研究を進める一方で、石黒教授は別の視点からも人間らしさを探求している。周囲の状況をセンサーで感知し、人を認識する能力をもつ赤ちゃんロボット・CB2の開発である。CB2の見た目はアンドロイドとは違い、リアルな人間とはかけ離れている。しかし、周囲の人間の呼びかけに対してレスポンスできる能力によって、あたかもそこに心があるかのような「らしさ」を感じさせるのだ。

肉体から遊離する存在感
石黒教授は、遠隔操作が可能な自分自身のアンドロイドも作っている。興味深いことに、教授が遠隔操作するアンドロイドに接する人々には、アンドロイドが教授自身であるかのように感じられ、まさに本人がそこにいるように思えるという。さらに、このシステムを操作する人間は、アンドロイドの体が自分の体であるような感覚をもつという。アンドロイドは人間の心と体を分離することができるのか?

抽象的なアンドロイド?
リアルなアンドロイドから人間らしさの本質に迫ってきた石黒教授は最近、リアルとは対極にある存在感だけを抽出したようなアンドロイドの研究に取り組んでいる。遠隔操作によって人との会話を可能にするテレノイドとよばれるロボットだ。性別や人の個性をそぎ落とし、誰にでもなれることを目的に作られたアンドロイドは、人間の存在感について何を教えてくれるのか?


主な取材先
石黒 浩さん(大阪大学大学院教授)
平田 オリザさん(劇作家)
浅田 稔さん(大阪大学大学院教授)
黒木 一成さん(株式会社イーガー)
桐竹 勘十郎さん(文楽人形遣い)

ga101218_1ga101218_2ga101218_3ga101218_4
トップへ戻る