神か穢か。ウンコの歴史
ソクラテスもアインシュタインも。どんな偉人であれ、またはどんな独裁者であれ、ヒトはヒトである限り、必ずウンコをする。近年、モロッコで発掘されたホモ・サピエンスの化石は、今から30万〜35万年前のものだという。かくも長く、人類はウンコし続けてきたのだ。ところで、ウンコって何なのだろうか?その中身と歩んできた歴史を探ると、神として崇められたり、お金を出すほど価値があったり、クサイ、イラナイと言われたり…
色々とあったウンコと日本文化の軌跡を辿る。
健康なウンコで健康?
知らない人のウンコを頂いて健康になる!といったら冗談と思うかも知れない。
しかし、それは現実に存在する治療法。糞便移植、またはFMT(Fecal Microbiota Transplantation)と呼ばれるもので、今注目を集めている。もちろん他者の排泄物をそのまま移植するのではなく、濾過し、腸内細菌を移植する。指定難病のクローン病や潰瘍性大腸炎から、糖尿病、アトピー、アレルギー、肥満など多岐にわたる効果が期待されており、いまアメリカを中心に広がりつつある治療法の一つだ。中でも糞便移植によって劇的な治癒効果をもたらしているのが、偽膜性大腸炎。糞便移植と偽膜性大腸炎に注目し、その研究の最前線に迫る。
再興の下肥を開発するための最高のウンコ
江戸時代の日本では、ウンコから作る肥料の下肥(シモゴエ)を大いに活用し、世界でも類を見ないほど高度な再利用システムを構築していたという。
しかし、それは時代とともに衰退した。現在、ウンコは浄化センターなどで微生物によって分解され、「下水汚泥」となり、その大半を建築物の資材や埋立地の土として利用している。かつては皆がウンコに価値を見出し、身近に感じていたその存在も、今は社会構造からしても、ウンコを身近に感じることは少なくなった。
そんな中、今「下水汚泥」を堆肥にする研究がいま進められている!その開発中の堆肥は、なんと匂いがほぼ無いという。さらに栄養価が高く、また高い防カビ性能も兼ね備えているというから驚きだ。いわばハイテクな下肥とも言える新たな堆肥づくりの取り組み、その研究現場を取材した。
主な取材先
ウンコミュージアム
湯澤 規子さん(法政大学)
植松 智さん(大阪公立大学)
蔵下 はづきさん(長岡技術科学大学)
青井 透さん(群馬工業高等専門学校)