水中ロボットの競技会 水中ロボットコンベンション開催!
2025年8月。海洋研究開発機構の研究用プールを舞台に水中ロボットの競技会が開催された。参加したのは のべ374名41チーム。日本全国から中学生・高校生・高専生・大学生・アマチュアの社会人が集まり、独自に開発した水中ロボットで競技を繰り広げる。この競技会では4つの部門が設けられ、それぞれ異なる課題が設定されている。競技会が進行していくと、審査員を務める専門家も驚く独創的な水中ロボットが続々と登場した。
実際の海で活躍する水中ロボット うらしま8000
競技会の会場となった海洋研究開発機構では、実際の海の調査で活用する水中ロボットの開発が行われている。そのうちの一つ「うらしま8000」と名付けられた水中ロボットは、2022年から大規模な改造作業が開始され、3年の歳月を経てついに完成した最新の水中ロボットだ。なんと、ロボット自身が判断する自律行動によって水深8000mまで潜り海底の調査を行うという。完成したうらしま8000の性能を確認する試験航海が日本近海で実施され、これまで謎に包まれていた水深約8000mある日本海溝の海底の姿が明らかになってきた。
開発が進む、深海をピンポイント調査する水中ロボット
今後、うらしま8000が本格的な調査を開始すると、これまでより多くの場所で深海の海底の様子が明らかになると期待されている。海洋研究開発機構では、その調査結果を基に活躍する水中ロボットの開発も進められている。それは、深海をピンポイントで調査し、サンプルを持ち返るロボットだ。現在開発中のロボットは、なんと水深1万1000mをピンポイント調査することを目標にしているという。水深1万1000mは地球上でもっとも深い海だ。そのためには、ロボットを精密に動かし、調査を行うための「新たな操縦方法」の開発が必要となった。実験では、その新たな操縦方法でサンプルの回収にも成功している。
今後、水中ロボットはどのような発展を見せるのだろうか。
主な取材先
中谷 武志さん(海洋研究開発機構)
前田 洋作さん(海洋研究開発機構)
水中ロボットコンベンション in JAMSTEC 2025
清水 悦郎さん(東京海洋大学)