ハリガネムシはどこにいる?
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京都駅から車を走らせること、およそ二時間。ヘアピンカーブが続く林道の奥に、京都大学が研究のために管理している芦生研究林という森がある。一般には立ち入れない広大な森には、天然の木々が多く残り、多種多様な生物が生息している。
そんな中、玉網を片手にウェーダー姿で、水たまりを熱心に見つめる研究者がいた。
世界でも数少ない、ハリガネムシを専門に研究している京都大学准教授の佐藤 拓哉さんだ。
当然かも知れないがハリガネムシを研究するには、ハリガネムシを採取しなければならない。通常、カマキリなどの虫の”体内”に寄生しているハリガネムシをいったいどのように見つけることができるのだろうか?佐藤さんのフィールドワークに密着する。
ハリガネムシはどう生きている?
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まるで針金に命が宿ったかのような、クネクネと動くその姿は実に面白い。そしてキモい。
ところで、ハリガネムシという生き物。そのライフサイクルはどうなっているのだろうか?佐藤さんに絵を描いてもらいながらその生態を教えてもらうと、世にも奇妙なハリガネムシの世界が見えてきた。
ハリガネムシはなぜ操る?
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ゾンビ映画でよくある、なにか取り憑かれたかのように唸りながらふらふらと歩いて行くゾンビたち。
寄生生物ハリガネムシがやっていることはそれとほぼ同じだ。
宿主の脳を刺激して、その行動を誘導し、操られた宿主はふらふらと水辺に向かい、最後は水の中に飛び込んでしまうのだ。
そして水中へ入った宿主のほとんどは、魚など他の生物に捕食されてしまうというから、気の毒な話だ。
しかし、ハリガネムシからしても宿主は貴重な栄養源のはず。宿主をわざわざ失うような行動をする必要がどこにあるというのだろうか?そして必要があるのならば、どのように宿主を操っているのだろうか?
ハリガネムシ最大の謎といえる宿主操作のメカニズムを解明するため、佐藤さんはハリガネムシに寄生されたカマキリを使ったある実験を行った。
ハリガネムシも必要な存在
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「グロいでしょう?」
と佐藤さんが、指さす先には、渓流魚によって捕食された昆虫の残骸の数々が。そしてその中にはカマドウマの頭もあった。生首だ。
佐藤さんは、渓流魚の胃の内容物を調べることで、世界初の発見をしたという。
いったいカマドウマの生首が浮かぶ、渓流魚の胃の内容物から何がわかったのか?
そしてその発見は、ハリガネムシとどのような関係があるのか?
主な取材先
京都大学 佐藤拓哉さん