伝説の怪物クラーケンのようなやつがいる!
無数の腕や枝を持った海の怪物「クラーケン」……はあくまでも空想上の存在だが、実はその元になったと考えられている生物がいた。その生物は数えきれないほどの無数に生えた手足を一本一本モソモソと動かしており、特徴的な五角形の口を持っていた。生物かどうか見紛うその姿はまさに伝説上の怪物そのもの。そんな生物こそ、今回の主役「クモヒトデ」の仲間だ。クモヒトデとは如何なる生物か、奇想天外な海の生物に迫る。
クモヒトデとヒトデ
クモヒトデ、その名を聞くとヒトデの仲間とつい思ってしまう、姿形も一見するとほとんどヒトデと同じに見える。しかし実はクモヒトデとヒトデとは似て非なる存在であり、生物の分類としては「綱」で異なるという。例えば哺乳類の人間からすると、人型の爬虫類がいるようなものだ。そんなヒトデと異なるクモヒトデとは、どのような生態を持つ生物なのだろうか?目や口は?何を食べているのか?クモヒトデの奇妙な生態をヒトデと比べながら探っていく。
クモヒトデの数々の奇妙な生態。しかし何よりも気になるのはその見た目……うねうね伸びる5本腕、なぜ五角形なのだろうか?弱肉強食の海の世界で生きていくイメージがまるで湧いてこない。生物の中でも一際珍しいそのフォルムをなぜ選んだのか。クモヒトデ進化の道筋を探ると、私たちから想像もできないちょっと変わった生存戦略が見えてきた。
微化石の世界
数万年前のクモヒトデの骨の化石。中でもギリギリ目視ができるような数ミリ以下の「微化石」というものが、今世界から注目を集めているという。これまで価値がないとされ発掘されても日の目を浴びることがなかったというこの微化石が近年、地球の過去の情報を握っている重要な存在だということが分かってきたのだ。では小さな化石には一体何が秘められているのだろうか。クモヒトデの化石調査に同行した。
クモヒトデメタバーコーディングの世界
クモヒトデから過去を見る研究だけでなく、未来を探る研究も同時に進んでいた。広島湾から船で宮島の方へと2時間、とある調査ポイントに着くと、そこでは海底の泥の採取が行われていた。これはクモヒトデメタバーコーディングと呼ばれる海水に漂ったクモヒトデのDNAを採取するものだった。しかしそこから何が分かるというのか。クモヒトデに秘められた可能性とは?