ウナギの危機
いまウナギ不足が問題となっている。その原因は、養殖に必要なシラスウナギが減少していることにあった。統計によると国内でのシラスウナギの捕獲量は1960年前半をピークに激減している。
自然界での個体数の減少も危惧されており、いま国際自然保護連合や日本の環境省はニホンウナギを絶滅危惧種に指定しているのだ。
ウナギ不足を解決するための完全養殖とは?
ウナギ不足の解決には、天然のシラスウナギに頼らない新たな取り組みが必要だ。その解決策として研究が進められたのがウナギの完全養殖だった。これによって人工的にシラスウナギを生産することが可能となったという。
では完全養殖とはどのような技術なのか?それを知るためには、まず様々な体に変態するウナギの生活史を知らなければならない。そのユニークな生態とは……。
完全養殖実現への挑戦
ウナギの完全養殖の研究が始まったのは1960年代。1973年には北海道大学が世界初となる人工ふ化に成功し、ウナギの仔魚が得られるところまで進んでいた。
しかし仔魚を成長させることはその後20年以上も実現しなかった。その理由は仔魚が何を食べるのかわからなかったためだ。
この難関に立ち向かった研究者がいた。そしてその研究者は1つの答えに辿り着く。はたして仔魚の飼育はどのように確立されたのだろうか?
大量生産への挑戦
様々な課題が克服されていく中で、さらに大きな課題があった。それが大量生産の実現だ。一年間に必要なシラスウナギは約一億尾、それに対して人工生産では3桁以上も少ない数しか生産できない状況なのだ。
この課題を克服するため、いま国の研究機関だけでなく、自治体や大学、そして民間企業などが大量生産の実践へ向けた挑戦を続けている。そんな取り組みを行なう現場の1つ、鹿児島県の沖永良部島でウナギの人工生産を行なう民間の研究室を訪ねた。
主な取材先
水産研究・教育機構 増養殖研究所南勢庁舎
近畿大学水産研究所 浦神実験場
新日本科学 沖永良部研究室
炭焼 うな富士 白壁別邸