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岐路に立つ在来品種 貴重な遺伝資源をどう未来に繋ぐか?

BSフジ
本放送:06月23日(日)朝08:28~08:58
再放送:06月30日(日)朝8:28~08:58

人類の歴史は、農業の歴史であるといっても過言ではない。現代では病害虫への強い耐性を示す品種が開発され、さらに遠く離れた異国の野菜を日本国内で栽培することもできるようになった。 しかし一方で、日本各地で伝統的に栽培され続けている系統の作物、すなわち『在来作物』はさまざまな理由から存亡の危機に瀕しており、そんな様々な作物の品種にまつわる情報を広く知ってもらうための『在来品種データベース』が2024年3月に公開された。 そしてこのデータベースの情報収集を担当したのが、在来作物を長年調査し続けてきた山形大学の江頭教授だ。 在来作物とは何なのか?これからも作り続け、利用し続ける必要はあるのか?江頭教授への取材を中心に、日本人が忘れかけている在来作物の世界を探る。

『在来品種データベース』誕生!ところで在来品種とは…?
 2024年3月、農研機構と山形大学が共同で調査・開発を進めてきた在来品種データベースが公開された。在来品種は全国各地で伝統的に栽培されてきた品種を指すものだそうで、野菜などの食べ物にとどまらず工芸に利用される作物も掲載されている。誰でもインターネットからアクセスできるというこのデータベースには、280品目にも及ぶ在来品種の詳細な情報が掲載されており、地元の伝統を今に伝える品種を見つけることができる。

10年で調査したのは500品目以上!? 山形大学/江頭教授
 農研機構の在来品種データベースの調査を担当したのが山形大学の江頭教授だ。
江頭さんは全国を飛び回って各地の農家や関係者への聞き込みを行い、10年間で500以上の在来品種を調査したのだという。江頭さんが調査の対象にした在来品種にはいくつかの条件があったが、私たちが普段口にする多くの作物とは栽培方法の点で違いがあるという。そしてこの在来品種は、『地球沸騰時代』を私たちが生存し続けるための重要な鍵を、その遺伝子の中に宿している可能性もあるのだという。

在来品種をどう未来に繋ぐ?
 遺伝資源として貴重な在来品種だが、今後も生産し続けるためにどうすればいいのか?山形県鶴岡市の民田地区の名を冠した在来品種である『民田なす』を栽培している瀬尾 蘭さんに話を聞いた。かつてこの地では民田なすの商業的な生産が途絶えてしまったことがあるものの、現代においては商売としての可能性を十分に持っているのだという。また外内島きゅうりを栽培している須藤 明里さんは、これまでの調理方法・利用方法の枠を飛び出したところに食材としての新たな可能性を見ている。
 鶴岡市のレストラン『アル・ケッチァーノ』のオーナーシェフである奥田 政行さんは、在来品種の可能性を高く評価している。「地元で愛され続けてきた在来品種の食材には、海外の野菜にも負けない香りやクセがある」と語り、これまで広く知られてきた料理ではない、新たな料理でこそ在来品種の活躍する舞台があるのではないかと考えている。
 江頭さんによれば、データベースで公開された280品目以外にも、全国におよそ2,000はあるとされる在来品種。その可能性と未来を探る。


主な取材先
江花 馨子さん (農研機構)
山﨑 福容さん (農研機構)
江頭 宏昌さん (山形大学)
瀬尾 蘭さん
五十嵐 一雄さん
須藤 明里さん
奥田 政行さん(アル・ケッチァーノ)

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