ガリレオX

新たな治療法を確立せよ!! アンメット・メディカル・ニーズに応える最新研究

BSフジ
本放送:03月26日(日)昼11:30~12:00
再放送:04月02日(日)朝08:28~08:58

今、私たちは、もし病気になったとしても病院で診察を受け、症状に合わせた最適な治療を受けることができる。しかし、病気の中には、現在の医療を持ってしても完治できないものがいまだにある。そのような病気に対し、医療のさらなる進展を求める声は「アンメット・メディカル・ニーズ」と呼ばれ、新しい治療法の確立や医薬品の開発が、患者だけでなく医療従事者にも求められている。現在の医療が抱える課題の一つ「アンメット・メディカル・ニーズ」に応えるべく進められている最新の研究に迫る。

現代の医療が抱える課題
「アンメット・メディカル・ニーズ」とは、いまだ有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズのこと。現在の医療を持ってしても完治ができない病気がある。そんな病気をなくそうと日々、さまざま研究が進められている。


アルツハイマー病のメカニズムを解明し、新たな治療法を探る研究
 現在も根本的な治療法が確立されていない病気の一つが「アルツハイマー病」だ。アルツハイマー病は記憶や思考などの機能が低下する認知症の一種で、近年、患者数が増加している。しかし、実はアルツハイマー病がどうして起こるのか、そのメカニズムの全貌はいまだ明らかになっていない。
 東京大学 大学院医学系研究科の山田 薫さんは、アルツハイマー病が起こるメカニズムの解明を進め、その知見から新しい治療法を探索している。今回、新たにアルツハイマー病を引き起こす原因物質が脳に蓄積するスピードを加速させる要因が明らかになった。この成果により、原因物質が脳に蓄積するスピードを制御し、さらには蓄積を防ぐことができれば、今後アルツハイマー病の効果的な治療法につながるかもしれない。


がんを副作用なく治療する手法 光細胞死滅法
 長年、日本人の死因の一位になっているがん。岡山大学 学術研究院医歯薬学域(薬学系)の須藤さんは、がんの新しい治療法の開発を進めている。その治療法は、がん細胞を副作用なく死滅させる手法だという。
須藤さんは、ロドプシンという、光があたると特定の働きをするタンパク質の研究に取り組んでいる。その数あるロドプシンのうち、「光を受けると細胞の中から外へ水素イオンを汲み出す」という働きを持つものに注目し、新しいがんの治療法として利用しようと研究を進めている。
須藤さんは、光でロドプシンを働かせ、がん細胞を死滅させることから、開発している手法を「光細胞死滅法」と名付け、実用化を目指している。


血液のがんの一種 真性多血症を治療する新薬
 「がん」の中に、造血幹細胞という血液の種となる細胞に遺伝子の異常が起こり生じるものがある。「血液のがん」と呼ばれるものの一つ「真性多血症」だ。現在、その真性多血症の主な治療は血栓を防ぐことに注力されている、つまり対症療法しかできないのだ。
 その真性多血症の治療を大きく変える医薬品の臨床試験が進んでいる。それはインターフェロンという物質を医薬品として利用したものだ。インターフェロンは肝炎やがんの治療に用いられているが、副作用が強く、治療効果を発揮する前に投与を中止しなければならなケースも多々あるという。そのようなインターフェロンを改良し、治療効果は保ったまま副作用を抑えた医薬品が日本の現場に登場しようとしているのだ。
順天堂医院 血液内科の小松さんは、新しい医薬品が登場することで真性多血症の治療が対症療法から完治を目指す治療に変わることに大きな期待を寄せている。


主な取材先
山田 薫さん(東京大学)
須藤 雄気さん(岡山大学)
小松 則夫さん(順天堂大学)
ファーマエッセンシア

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