「メテオ」の打上げ成功!
2016年3月23日昼、あるミッションを託されたロケットの打上げが行われた。そのミッションとは、宇宙から流星を観測するためのカメラを国際宇宙ステーション(ISS)に送り届けること。打上げは無事に成功し、カメラの運搬作業も終了したで、いよいよ世界初となる画期的なプロジェクトが動き始めた。その名も「メテオプロジェクト」。宇宙から流星を観測する試みだ。しかし、流星を宇宙から観測することにどういう意味があるのか? そもそも「流星」とは何なのだろうか?
流星の正体
夜空を一瞬だけ走りさる星々。私たちはそれを「流れ星」と呼んでいる。多くの人が子供の頃、この「流れ星」に自分の願いや思いを込めた経験があるだろう。身近な存在である流れ星・流星であるが、その正体は実のところ彗星が噴き出すわずか数ミリの「塵」なのである。彗星が太陽の周辺を回るときに熱で温められ、ガスや塵を噴出して川のような流れとなり、それが地球の大気とぶつかるときに起こる現象、それが流星なのだ。しかし、なぜわずか数ミリ程度の大きさのものがあれほどに明るく輝くことができるのだろうか。 そこにはどんなメカニズムが隠されているのだろうか? そしてそのメカニズムを解き明かす驚きの実験装置とはどのようなものか?
流星を宇宙から見ることでわかること
そもそもなぜ流星を宇宙から観測する必要があるのか。地上からの流星観測は、常に天候に左右される。宇宙からの流星観測の利点の一つは、地表の天候に左右されず定常的に観測できる点にある。では、流星の何を具体的に観測するのか? この観測の結果によっては、太陽系の起源であるとか、人間の進化の謎といった「地球46億年前の記憶」を読み解くカギが明らかになるかもしれないと期待されているのだが、それは一体なぜなのか? 世界初となる流星観測プロジェクトの概要と運用状況、現状の課題に迫る。
主な取材先
松井孝典さん(千葉工業大学)
荒井朋子さん(千葉工業大学)
石丸亮さん(千葉工業大学)
佐藤幹哉さん(かわさき宙と緑の科学館)