思わず目を疑う“錯視”はなぜ起こるのか?
2021年冬、新潟でちょっと変わった展示会が開催されていた。そこに展示されているものは錯覚を利用した作品で、例えば、「見る方向で形が変わって見える」作品や「同じ色なのに違って見えてしまう」作品があった。このように錯覚の中でも、視覚によって起こる現象を“錯視”という。錯視は答えが分かっていたとしても、避けられないという。一体なぜ、錯視は起こるのだろうか?
錯視と数学
『無限階段』という作品を作った錯視の研究者がいた。それは、「ぐるぐると階段が続き、一番高いところが分からない」という作品だ。しかも、それが立体物として存在しているという何とも不思議な作品だ。その作品を作るためには数学が使われているという。一体どのように数学を使い、錯視を起こすというのだろうか?
静止画が動く⁉
「静止画が動く」そんな作品があった。その不思議な作品は『蛇の回転』だ。
1枚の絵なのにじっと見ていると、ぐるぐると回転するように動いて見えてくる。勿論ここにも錯視が使われている。この作品に使われている“回転するように動いて見える”錯視の研究は、偶然の発見から始まったものだった。
人工知能も錯視を起こす?
錯視を別の研究に利用する試みが進んでいた。それは私たちの脳の仕組みを解き明かす研究だった。その方法は、なんと人工知能に錯視を起こさせるというものだ。現在、“私たちの脳は予測を行い、その予測情報をループさせて処理をしている”という仮説があり、もし人工知能が錯視を起こせば私たちの脳の仕組みが解明できるという。人工知能は錯視を起こすのか?今、実験が進んでいた。
主な取材先
新潟県立自然科学館
杉原 厚吉さん (明治大学)
北岡 明佳さん (立命館大学)
渡辺 英治さん (基礎生物学研究所)