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高速鉄道で国土が変わる! 台湾新幹線にみたリニアの未来

BS日テレ
本放送:03月19日(木)夜22:30~22:56
再放送:03月26日(木)夜22:30~22:56

 高速鉄道の開通は、人々の移動時間を短縮して人流を活発化させ、より大きな都市圏の形成を促して、国全体の経済を活性化させてきた。2007年に開通し、台湾の南北を90分で結んだ台湾新幹線(台湾高鉄)は、世界的な半導体需要で急成長をする現在の台湾経済の原動力だ。その成功に、東京・名古屋・大阪間を約1時間で行き来できるようにする日本のリニア中央新幹線の未来を重ね合わせることはできるのだろうか?台湾の人々が持つ、時間距離の変化の実感を現地で取材し、日本の国土の未来予想図を展望する。

台湾経済の急成長を支えた高速鉄道
 台湾はいま、ハイテク産業における世界的な中心地になっている。台湾の大きさは九州と同じくらいで、人口は九州総人口の約2倍の2,330万人ほどだ。だが、台湾の実質GDPは、この20年間で約2倍に増大した。日本政府が総額で1.2兆円超もの補助金を出し、熊本県に工場を誘致して話題となったTSMCも、台湾の半導体受託製造企業だ。今後もAIに使われる半導体需要の世界的増加が予測されており、台湾経済の存在感は増すばかりだ。その急成長を支えてきたのが、台湾新幹線だと言う。台湾の国立陽明交通大学の馮正民(フォン・セイミン)名誉教授に詳しく話を聞いた。

台湾新幹線が作り出した一日生活圏
 交通インフラの無かった時代、台湾の一日生活圏は7つのエリアに分かれていたと言う。一日生活圏とは、そこに住む人々が、一日のうちで“行って帰る”だけではなく、“仕事や生活や娯楽をしても帰れる”活動範囲のことだ。時代とともに交通インフラの整備が進み、高速道路網が整い、鉄道網が完成し、そして台湾新幹線が開通したとき、台湾の人々の一日生活圏はどう変わったのだろうか。

台湾新幹線とは?
 台湾新幹線には12の停車駅があり、台北市から高雄市までを最速で約90分で結ぶ。そして近年での、1日平均の利用者数は日本の山陽新幹線を上回るほどとなっている。台湾新幹線を運営する台湾高鉄スポークスパーソンの鄒衡蕪(ゾウ・ホンウー)さんによると、当初、台湾新幹線は大きな課題に直面していたと言う。それは、政府が新幹線の路線とその駅を計画した目的が“国土開発”にあり、「駅さえ設ければ、それが将来の地域発展を牽引できる」と考えられていたことに理由がある。それが変化した現在の台湾の姿とは?

台湾新幹線がもたらした生活の変化
 新竹という名前の新興都市がある。首都である台北から台湾新幹線で約30分の街だ。半導体中心のハイテク産業集積拠点である「新竹サイエンスパーク」が作られ、台湾のシリコンバレーとも呼ばれている。台湾新幹線の利便性は、生活や仕事の活動範囲を大きく変えた。新竹の半導体関連企業で営業職につく趙さんという女性の一日に密着し、居住している新竹の自宅を出てから、台湾新幹線に乗り、片道70分で台南の取引先企業に出張する様子を追った。

台湾新幹線がもたらした産業の変化
 台湾新幹線の駅は、在来線の駅からかなり離れた場所に新たに作られた。そのため、開業当初の周辺地域は田畑や草地の広がる土地だったが、この20年で多くの産業が勃興した。台湾経済を牽引する半導体産業以外にも、再生可能エネルギー研究・開発拠点や、文化・レジャー施設などもある。鉄道研究者の蘇昭旭 (スー・ジャオシュー)さんと一緒に台湾新幹線に乗り、台南・台中・新竹といった都市を案内してもらい、高速鉄道によってもたらされた外部経済効果について話を聞いた。

鉄道が変われば国土が変わる
 台湾新幹線があったからこそ、現在の台湾経済の急成長が実現されたのだろうか?過去に台湾政府からの要請で、「台湾新幹線による経済効果」の研究協力をした経験がある神戸大学大学院の小池淳司教授によると、「新幹線は物流を支えているわけではなく、人流による情報やマーケティングを支える重要なインフラになってきたことがポイントだ」という。

リニア中央新幹線で変わる未来
 日本では今、東京・名古屋・大阪を約1時間圏内におさめるリニア中央新幹線が建設中だ。台湾新幹線によって台湾の南北が一日生活圏として一体化したように、リニア中央新幹線によって、日本の東西の一日生活圏が大きく広がることになる。
また、台湾新幹線の新しい駅周辺地域が独自の発展をみせていたように、日本のリニアによって作られる岐阜県・長野県・山梨県・神奈川県の新しい駅の周辺にも、国の内外からの人の流れが生じて、産業創出が起こることが期待されている。


主な取材先
馮正民さん(国立陽明交通大学)
鄒衡蕪さん(台湾高鉄)
蘇昭旭さん(交通科学技術博物館)
趙さん(台湾半導体関連企業)
小池淳司さん(神戸大学大学院)

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