ガリレオX

動物が自分を記録する!?バイオロギングの世界

BSフジ
本放送:02月22日(日)昼11:30~12:00
再放送:03月01日(日)昼11:30~12:00

 科学研究の基本の一つとして欠かせない「観測」。ところが対象が野生動物だった場合この観測が、非常に困難なものとなる。動物が水の中に入ってしまったり、崖の上に登ってしまったり、あるいは空を飛んで行ってしまうからだ。しかし、ある観測技術を用いると、いままで見えなかった動物の生態を把握できるようになった。 その研究手法はバイオロギング。  動物そのものに小型のカメラやGPSロガー、加速度センサーなどを取り付け、観測するというこの研究手法がこれまでの動物行動学の定説を次々に書き換えている。

ウミガメが見た世界
 水深100mの水圧に耐え、日中1時間ごとに10分間のインターバル撮影ができる長期記録用の撮影装置が、沖縄県、西表島近海のアオウミガメに付けられた。そこにはアオウミガメがサンゴ礁の岩影で眠っている様子や海中での他のウミガメとの出会いなど、人間のカメラマンでは撮れない表情豊かなアオウミガメの姿が写っていた。

カブトガニの謎
 2億年前からほとんど姿を変えていない、生きた化石と呼ばれる生物「カブトガニ」。その生態にはいまだ謎が多く、その観測の難しさから基礎的な研究に留まっていた。
 しかしバイオロギングによってカブトガニの生態に新たな発見がもたらされた。それはカブトガニの活動周期。人間が24時間周期で活動しているように、他の生物にも活動周期というものがある。そしてカブトガニの活動周期は他の生物とは異なる大きな特徴をもっていたのだ。

ジュゴンの鳴き声
 体長3.0m、体重400kgにも成長し、寿命は70年と言われている海の哺乳類ジュゴン。しかしジュゴンはそのほとんどを海中で過ごすため、非常に観測が難しく謎の多い生物だと言われている。これまでの調査でジュゴンが鳴くこと、そしてその鳴き声には二種類のパターンがあることはわかってはいたが、それらがどういう行動でどういう使い分けをしているのかは詳しく解明されていなかったのだ。
 そして今回、ついにその謎を解き明かすため特別な許可がとられ、タイでジュゴンの捕獲テストが行われた。その結果…

ツキノワグマのデータ
 これまでの生物データというのは、人間が動物を観測することで得るデータであった。しかしバイオロギングによって事態が変わった。動物自身によって記録されることで得るデータ、つまり人間目線ではない、動物目線による記録なのだ。彼らのより自然な行動に基づいて残されたデータを解析すると、新たな知見を呼び起こす。今回、秋の山を歩くツキノワグマの行動内容とそのデータ解析から、クマの求める理想の地、桃源郷が見つかったのだった。


主な取材先
市川 光太郎 (京都大学フィールド科学教育研究センター)
渡辺 伸一 (福山大学 生命工学部)
奥山 隼一 (京都大学フィールド科学教育研究センター)
島谷 健一郎 (統計数理研究所)

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