金魚の魅力は多様性にあり
観賞魚として日本人に親しまれている金魚だが、原産国は中国で日本には約500年前の室町時代に伝わったと考えられている。そんな金魚の魅力は多様な色や形を持った品種があることだ。金魚すくいでおなじみの「ワキン」や目が出た「デメキン」、そしてそのデメキンの目が上を向いた「頂天眼」、さらには体の色も赤、白、黒、三色と様々だ。なぜ金魚だけがこれほどまでに多様性を持っているのだろうか?それは生物学の大きな謎だった。
金魚の多様性を遺伝子からさぐる
そんな金魚の多様性をさぐる研究者がいる。長浜バイオ大学の大森義裕さんは遺伝子の働きから金魚の多様性に迫ろうと研究を続けている。生物の身体づくりを制御するのが遺伝子であり、金魚の様々な色や形が生まれる背景には、様々な原因遺伝子が関与していると予測される。大森さんはそれらの原因遺伝子を見つける研究を始めた。
原因遺伝子を見つけるための2つの難関
金魚の体づくりを制御するとされる原因遺伝子を見つけるためには、2つの難関を突破する必要があった。まず最初の難関が、金魚の遺伝子の全情報であるゲノムを解読することだ。これは全ゲノム解読と呼ばれている。もう一つの難関が、全ゲノム解読後に金魚の様々な品種の全ゲノムを比較して、原因遺伝子を探し当てる作業だ。どちらも非常に難易度の高い研究なのだが、はたして金魚の原因遺伝子は見つかるのだろうか?
解き明かされつつある金魚の多様性の謎
では金魚の遺伝子から、その多様性をさぐる研究によって、どんな秘密がわかってくるのだろうか?実は金魚の遺伝子を研究する過程では、金魚の遺伝子が他のほとんどの脊椎動物にはない特徴を持っていることも明らかになってきた。そしてその特徴が金魚の多様性の原因となっている可能性が見えてきたのだ。
主な取材先
岡本 信明さん(トキワ松学園)
大森 義裕さん(長浜バイオ大学)
川上 浩一さん(国立遺伝学研究所)
豊田 敦さん(国立遺伝学研究所)
野口 英樹さん(情報・システム研究機構)
原田 誠さん(愛知県水産試験場 弥冨指導所)
東海鑑賞魚卸売市場
江戸前金魚展示場
金魚ミュージアム