ガリレオX

活用進む!国産木材 森林資源をどう使い、育てるか?

BSフジ
本放送:11月28日(日)昼11:30~12:00
再放送:12月05日(日)昼11:30~12:00

 日本の国土の半分以上を占める森林、そのうち約40%は人工林だ。現在、その大部分は植林されてから約60年が経過し、『木材』として使用するのに適した大きさにまで成長している。しかし、木材の需要は植林された頃より減少しており、人工林の多くの木は使われる時を待っている状態だという。  そのような状態にある日本の木が、ここ数年再び需要の高まりを見せ始めている。その理由のひとつは、木材が世界的に求められる脱炭素に適した材料だと考えられているからだ。木は成長する過程で二酸化炭素を多く吸収するため、十分に成長したものは伐採し、再び植林することが求められているのだ。そこで伐採した木を資源として有効に活用する新たな方法の研究が進んでいる。いま注目される木材活用の最前線を探った。

新たな集成材 CLT・長く使える大径材
 日本の山に眠る木材の需要に大きな影響を与えるのはやはり建築だ。日本は経済成長に伴って木造建築からコンクリート建築へと大きく舵を切り、木材の需要が減ってしまった。しかし今、木が持つ太陽光とCO2によって成長する植物としての特徴から、持続可能な社会の実現を可能にする建築材料として活躍が期待されている。
 そこで注目を集めているのが切断した木材を再び束ねて作る集成材という建築材料だ。なかでもCLTと呼ばれる集成材は、あらゆる方向からかかる力に強いだけでなく、従来の木造建築より工期の短縮が可能になり、結果として建築費用も圧縮することが可能になると期待されている。
 一方、大径材という直径の大きな木材の利用も求められている。大径材は柱を製材するには余分な部分が多く、木材市場で売れ残ることが多い。この大径材を有効利用することで、林業者と消費者の経済が回るだけでなく、一度使った木材を再利用することができるため、より長く木材を使い続けることが可能になるのだという。

燃えない木材
 建築材料としての木材の大きな難点の一つは燃えることだ。かつて燃料としても利用されてきた木材の宿命とも思われるこの特徴だが、いま「燃えない木材」の研究が進められている。火災の被害を抑えるため現在は石膏ボードなどの燃えない材料で木材を覆う方法がとられており、木材は魅力の一つである木目を覆い隠すように使われている。そこでいま進められているのが、木材自体を燃えにくくする研究だ。この研究によって木目を大いに生かした木造建築ができるようになるという。



流れるように形を変える木材
 切って、削って、磨く。そんな当然とも言える木材の加工方法に革新的な技術が加わろうとしている。その技術は流動成型と呼ばれる方法だ。木材は、水分を適切に調整し、熱と圧力を加えることで金型に合わせて流れるように変形(=流動現象)する。一度の作業によって目的の形に仕上げることのできるこの流動性形によって複雑な形状の製品も木製で作り上げられるようになるという。従来はプラスチックや金属が担っていた役割に木材がとって変わると期待されている。

木を食べる!?
 木の主成分は食物繊維である。そのため決して食べることのできない素材ではない。しかし、特段その他の栄養素が豊富なわけでもなく、食品としては非常に硬いという特徴から、今まで食材として木が食卓に上がることはなかった。が、そんな流れに一石を投じる食品が生まれた。スーパーウッドパウダーと呼ばれるこの粉末は、まさしく木100%の食品だ。


主な取材先
原田 真宏さん(芝浦工業大学)
上川 大輔さん(森林総合研究所)
網野 禎昭さん(法政大学)
三木 恒久さん(産業技術総合研究所)
志村 史夫さん (ノースカロライナ州立大学 終身教授)
天竜T.S.ドライシステム協同組合
樽脇園
株式会社吉本
齋藤木材工業株式会社

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