地下に潜む謎の微生物
幌延深地層研究センターには、地下深部の地層環境を調べるため、地下に長大な坑道が作られている。坑道の深さは350メートルを超え、現在500メートルまで掘り進める工事が行われている。
そして、その坑道の地下深い場所で、興味深い微生物が発見された。それはDPANNと呼ばれる微生物の一種。微小な生命ながら、生命の起源に関する大きな謎を秘めていると目される微生物だ。幌延の地底、奥深い場所でDPANNの採集調査を行う研究者に密着し、その生態に迫る。
常識を覆す地底微生物
太陽光も届かない。酸素もない。地下深い超高圧力下の極限環境。実はそこに膨大な数の微生物が生息している。そしてそれらの大半は、何を分解し、どのようにエネルギーを得ているのか不明だという。そんな謎の地底微生物は、私達が酸素からエネルギーを得ている仕組みとは、全く違う方法を遥か昔に獲得し、今日まで生き延びてきたのだ。
では現在、発見されている地底微生物の生態はどのようなものがあるのだろうか?その研究を探ると、私達の常識を覆す驚くべき生態が見えてきた。
夕張と石炭と北海道
明治から昭和後期まで、北海道の石炭産業は日本経済の要として機能していた。2006年に財政破綻した夕張市も、かつては炭鉱を中心に最大11万人を超える人々が住む一大炭鉱都市として繁栄していた。しかし、現在7000人を下回り、深刻な人口減少に歯止めがかからない状況が続いている。
そんな中、今、石炭に再注目した研究が始まっている。なんと石炭からエネルギーを作り出すという研究だ。そしてその研究の主役となるのは、地底微生物だという。いったい、地底微生物を使って石炭をどのようにエネルギーにするのだろうか?石炭と地底微生物を活用する研究を取材した。
主な取材先
幌延深地層研究センター
鈴木 庸平さん (東京大学)
天野 由記さん(日本原子力研究開発機構)
上野 晃生さん(幌延地圏環境研究所)
石川 成昭さん(夕張市石炭博物館)