ガリレオX

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iPS細胞が再生医療を変える

BSフジ
本放送:04月24日(日)昼11:11~08:30
再放送:05月01日(日)朝8:00~08:30

2007年、山中伸弥・京都大学教授が作製に成功したヒトiPS細胞。生体内でその役割に応じて分化した細胞を分化前の状態に“初期化”できるiPS細胞作製技術は、再生医療を革命的に進展させようとしている。番組では、iPS細胞研究で世界をリードする京都大学iPS細胞研究所、東京大学医科学研究所ほかを訪ね、山中教授ら第一線の研究者を取材。世界的に競争が激化する再生医療の最前線に迫った。

再生医療の限界を打ち破る技術
生きた細胞を用いて行われる“再生医療”。現在は皮膚などの限られた組織でしか実現されていない。人体から取り出して培養で増やすことができる細胞は、種類が限られているからだ。ところが、この限界を打ち破る発見がなされる。京都大学・山中伸弥教授が、カラダを構成するほぼすべての細胞を作り出せるヒトiPS細胞の作製に成功したのだ。iPS細胞は、どのように作られたのか?

生命のルールを覆す“iPS細胞”の誕生
これまでの生物学の常識では、カラダの中で特定の臓器や組織に分化(専門化)した細胞は、別の細胞になる能力を失う。iPS細胞は、この生命のルールを覆すことで誕生した。京都大学iPS細胞研究所の山下潤准教授は、患者の皮膚の細胞からiPS細胞を作り、そこから心臓の細胞を生み出す研究を進めている。目指すのは心臓疾患の治療。「iPS細胞で今まで治らなかった人が治るようになる」とiPS細胞の可能性に期待を寄せる。

実用化に向かうiPS細胞
医療に欠かすことのできない血液製剤。その中でも安定供給が難しい血小板を、iPS細胞から作る研究も進んでいる。iPS細胞は無限に増える性質をもつので、輸血に頼らずに大量生産が可能になるという。治療に必要な細胞を効率的に増やす技術の開発も進んでいる。東京女子医科大学の岡野光夫教授は、「多くの患者を治すためには、ロボットによる大量生産が必要」と指摘し、細胞培養の自動化を目指す研究を進めている。

臓器再生は可能なのか?
iPS細胞によって複雑な構造をもつ臓器そのものをつくり出す。この再生医療の究極のゴールである臓器再生に、東京大学医科学研究所の中内啓光教授が挑んでいる。何とiPS細胞を使ってブタの体内で人間の臓器を作ろうという試みだ。すでに、マウスの体内でラットのすい臓を作り出すことに成功し、世界を驚かせた。遺伝子操作によってすい臓を作る遺伝子が働かないマウスの受精卵をつくり、培養後にラットのiPS細胞を注入。誕生したすい臓を作れないはずのマウスの体内に、ラットのiPS細胞由来のすい臓が作られていることを確認したのだ。iPS細胞は未来の医療に何をもたらすのか?


主な取材先
山中伸弥 教授(京都大学iPS細胞研究所)
山下潤 准教授(京都大学iPS細胞研究所)
井家益和 製品開発部長(ジャパン・テッシュ・エンジニアリング)
中内啓光 教授(東京大学医科学研究所)
岡野光夫 教授(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)

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