日本列島に到達した人類とは?
アフリカを出た私たちホモ・サピエンスの祖先は、5〜6万年前頃には東アジアにまで到達していたと考えられている。そこから、どのように日本列島にやってきたのかについては、いまだ謎に包まれている。研究者の多くは、4万年前頃に旧石器時代の遺跡が急激に増えることから、現代人につながる人々が少なくともその頃に日本で暮らしていたと考えている。ところが、実際は、さらに古い遺跡も見つかっている。岩手県遠野市では、8万5千年前から5万年前と推定される遺跡が見つかり、石器も出土している。しかし、これらを残したのは、ホモ・サピエンスとは別の私たちの祖先とは異なる人類だったという。
謎が多い縄文人のルーツ
私たちの直接の祖先と考えられる縄文人は、どのようにして生まれたのか。旧石器時代に日本に到達した人々が縄文人の祖先と考えられるが、彼らがいつどこから日本へやってきのかについては未だ定説はない。最近も縄文人のルーツに関する仮説が大きく覆される発見があった。これまで形態の類似性から縄文人の祖先と考えられてきた「港川人」と呼ばれる人骨が、X線CTとデジタル解析の結果、誤って復元されていることが判明。縄文人の祖先をめぐるシナリオに、また謎が加わったという。
縄文人の祖先はどこから来たのか?
縄文人と日本の周辺地域で見つかったより古い化石人骨の頭骨を統計的に比較した最新の研究では、意外な事実もわかってきた。日本から遠いオーストラリア南東部で見つかったキーロー人と呼ばれる人骨が、もっとも縄文人に似ていたのだ。さらに、ミトコンドリアDNAの解析では、これまで比較的均一だと考えられてきた縄文人が、様々な地域にルーツを持つ多様な集団であることが明らかになってきたという。私たちの祖先は、どこから日本にやってきたのか?
縄文人と弥生人はどのような関係なのか?
縄文時代の後、日本列島に現れた渡来系弥生人。彼らは、大陸から日本へやってきたシベリアなどの寒冷地に由来をもつ集団だったという。では、当時すでに日本列島に暮らしていた縄文人の子孫は、どこへ行ってしまったのか? 私たち現代日本人はどのように形作られたのか?
主な取材先
溝口優司さん(国立科学博物館)
佐藤宏之さん(東京大学)
海部陽介さん(国立科学博物館)
篠田謙一さん(国立科学博物館)