脳科学が迫る“夢を見ている脳”
深夜1時。情報通信研究機構未来ICT研究所である実験が始まった。それは、夢を見ている被験者の脳の活動を、fMRIと脳波計の同時計測によって解明しようというもの。眠りに落ちた被験者の脳活動を画像化すると、視覚野のある領域がまるで目覚めているかのように活動していることがわかった。
人はなぜ夢を見るのか?
夢を見るという行為に意味はあるのか。その疑問に「進化」という観点から迫る説がある。私たち現代人は石器時代に夢を見ることで生き残る確率を上げた個体の子孫だというのだ。私たちの祖先は、どんな夢を見ていたのか?
レム睡眠中の眼球運動の謎
寝ているにも関わらず閉じたまぶたの下で眼球だけが起きてるように動くレム睡眠。この不思議な目の動きは、夢で見ているものを追う視線の動きを表しているという説がある。先天性の視覚障害者でもレム睡眠が起こることから一旦否定されたこの説が、夢を見ている患者を捉えた驚きの映像から再び注目を集めている。
脳から夢を読み出す事が可能となる!?
2008年、ATR脳情報研究所は、図形や文字を見ている被験者の脳活動をfMRIで計測し、そのデータからどのような図形や文字を見ているのかを画像化する事に成功した。この方法を使えば、同じ視覚的体験である夢も数年以内に読み出す事が可能になるという。脳が生み出す純粋に主観的な体験である「夢」に科学はどこまで迫れるのか?
主な取材先
宮内 哲さん(情報通信研究機構 未来ICT研究所)
神谷 之康さん(ATR 脳情報研究所)
渡辺 恒夫さん(東邦大学 教授)



