富士山周辺で発生する地震
2012年1月28日の早朝、富士山のふもとに位置する山梨県南都留郡忍野村を地震が襲った。観測された震度は5弱。地元住民の多くは、真っ先にわずか数キロ先にそびえる富士山を見たという。気象庁はこの地震と富士山の火山活動には関連性がないという見解を発表した。しかし実は、今からおよそ1年前、富士山噴火の前兆を思わせる不気味な地震が起きていたのだ。
謎に満ちた活火山
火山としての富士山には、未解明の謎が数多く存在する。最大の謎は、なぜ日本の火山の中で富士山だけが桁違いに大きな火山へと成長したかという問題だ。その理由は富士山が誕生した場所の地学的な特殊性に関わっていると考えられているが、明確な答えは得られていない。しかし、解き明かされつつある謎もある。それは噴火を引き起こすマグマだまりの存在だ。
噴火は間近に迫っているのか?
今からおよそ3200年前には、すでに現在の高さに成長していた富士山。その斜面には、過去の噴火で出た溶岩の痕跡が残っている。実はこのような噴出物の分布を調べることで、富士山の過去の噴火の様子を復元することができる。復元された特徴的な噴火のパターンから富士山の次の噴火時期が明らかになってきた。さらに、奇妙な「白いマグマ」の存在から、次の噴火が爆発的噴火になる可能性も指摘されている。
富士山噴火、そのとき何が起きるのか?
日本の首都東京からわずか100kmの距離にある富士山。この活火山が再び噴火した場合、何が起こるのか? 火山学者は、火山灰が交通機関をストップさせ経済活動が壊滅状態になる可能性があると警告する。そして最悪のシナリオでは、首都機能が麻痺する非常事態さえ想定されている。破局的な被害が出る恐れのある噴火は果たしてどこまで予知できるのか?
主な取材先
藤井敏嗣さん(火山噴火予知連絡会会長)
小山真人さん(静岡大学)
武尾実さん(東京大学地震研究所)
鵜川元雄さん(防災科学技術研究所)
川原田義春さん(気象庁)



