日本近代化の立役者カイコ
明治時代、西洋技術をいち早く取り入れ、絹の大量生産を可能にした富岡製糸場。そして、その時代を代表する遺伝学者たちによる品種改良の技術。二つの技術が相まって日本の養蚕業は急速に発展していった。
カイコ産業の衰退
しかし、隆盛を極めた養蚕業も、今は瀕死の状態となっている。その原因は、高度経済成長による産業構造の変化。さらに、化学繊維の登場によって、カイコの作るシルクは、衣料の主役の座を奪われてしまった。
遺伝子組換え技術のインパクト
この状況を打開することは出来るのか?実は今、養蚕業に新たな光をもたらす技術が注目されている。カイコへの遺伝子組換え技術だ。今までのカイコの限界を超える、遺伝子組換え技術は、養蚕業に新たな可能性を生んでいる。
衣料の主役から医療の主役へ
医薬品などに使う有用なタンパク質を、遺伝子組換えしたカイコに作らせる研究が進んでいる。また、医薬品だけでなく再生医療からも注目を集めている。人体組織の再生に絹を使う研究が進められているのだ。今、カイコの大転換が訪れている!
主な取材先
嶋田透(東京大学)
冨田正浩(免疫生物研究所)
瀬筒秀樹(農業生物資源研究所)
玉田靖(農業生物資源研究所)
木内信(農業生物資源研究所)
内野恵郎(農業生物資源研究所)