実験で地球が消滅する!?
ヨーロッパにあるCERN(欧州原子核研究機構)で行われる科学実験によって、ブラックホールが発生して地球を飲み込んでしまう可能性を指摘したCG動画がYoutubeで話題になった。実験差し止めを訴える裁判も世界各地で起こされ・・・。こうした先端科学が引き起こす問題が、裁判所に持ち込まれるケースが増えているという。「科学」を法廷でどう扱ったらよいのだろうか?
科学の「正しい答え」とは?
教科書で習う「科学」には必ず正しい答えがある。これに対し、まだ先端分野で研究されている最中の科学には分からない要素が多分に含まれており、これを「科学の不確実性」と言う。この不確実性にともなうリスクがどれくらい存在するのか、単純に「確率」で判別することはできないのだろうか?そして「安全か危険か」の境界線はどこにあるのだろうか?
科学者はYesかNoでは答えられない
現状の裁判方式では、科学者が専門家証人として証言をするとき、弁護士からの質問に「はい」か「いいえ」かで答えなければならないシーンがままある。しかし科学者は、前提条件が無いと厳密な証言をすることはできないため、尋問する弁護士と話が噛み合ない状況が発生しがちだ。さらに、科学については非専門家である裁判官が、適正に裁くことはできるのだろうか?オーストラリアではそうした問題を改善するために、新しい裁判方式が採用されている。画期的なその方法とは?
科学者と法律家の共通言語は生まれるのか?
一方、日本では科学裁判の代表として「医療過誤」をめぐる裁判が多い。法廷では「科学的な証明」と「法的な証明」の双方をどう考えるかが焦点になる。また、社会を揺るがすような大きなリスクを伴う問題を扱うときには、その「リスクの特性」と、「引き換えに得られる利益」とが天秤にかけられる。不毛な平行線論争を脱して、わたしたちはどうやって問題を解決をめざすべきか・・・?
主な取材先
小林傳司(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)
中村多美子(弁護士)
本堂毅(東北大学大学院)
村上祐子(東北大学大学院)
渡辺千原(立命館大学)
立命館守山中学校・高等学校
吉良貴之(宇都宮共和大学)