iPS細胞など、最先端の研究成果がめざましい分子生物学。その研究者たちが集う分子生物学会で、真面目な研究発表がされる一方で、いまから約40年後の「2050年の学会の姿をSF的に描こう」という挑戦的なシンポジウムが開かれた。プレゼンテーションに挑むのは、日本を代表する脳科学者、クマムシ博士、ニュータイプの生物学者などの実力者たち。今回番組では特別編として、科学的リアリティと意外性、そして笑いに満ちたパフォーマンスの様子を紹介する。

宇宙インベーダー"NK" vs クマムシ!
クマムシ博士として知られるパリ第５大学の堀川大樹さんによれば、"NK"というある異常生命体の攻撃により、2050年の人類は滅亡の危機にあるという。 "NK"はNASAの宇宙空間での実験で6年間も生き延び、ヒトを洗脳する恐ろしい生命体。それに対抗できる唯一の救世主がなんと苔などに多く生息する"クマムシ"という緩歩動物！　そのクマムシも宇宙空間など過酷な環境でも生き延びることができる特殊能力を持つという。
"NK"に挑むため、クマムシを巨大化して立ち向かおうとするプロジェクトを本邦初公開の実験映像とともに紹介する！

料理レシピが日本の科学研究を激変させる!?
「料理と科学実験は似ている」という視点から、2020年に科学技術革命を起こしたトロント大学の谷内江望さん。ユーザーが料理のレシピをシェアできる人気サイトの構造モデルを応用し、科学実験のレシピや論文などもコンピュータ言語に書き換えてしまい、世界中の科学者がシェアできる公正な巨大実験施設を完成させた！東京ドーム100個分もの大きさになる実験ラボ「ロボットクラウドバイオロジー研究所」がもたらした革新的なイノベーションとは？

脳と脳をつないでしまえ！
シームレスブレインプロジェクト総督を務める東京大学の池谷裕二さんが提唱した「100億脳連結計画」。それは未来の世界でヒトとヒトの脳を接続して、テレパシーのように直接コミュニケーションすることだ。人々がもはや声を使うことなく、言語や文化の壁を越えてコミュニケーションをとることが可能になったという2050年。さらにiPS細胞の再生技術を用いて、自己と他者のコミュニケーションの概念を変え、哲学的な論争をも巻き起こした。飽くなき探究心に燃える池谷さんが、2080年の実現を目指している地球生命体の最終のステージの内容とは？

主な取材先
池谷裕二（東京大学 大学院）
谷内江望（トロント大学）
堀川大樹（パリ第５大学）
近藤滋（大阪大学 大学院）
日本分子生物学会